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IT総合賞受賞の日産CIO、次期IT中期計画に言及

企業情報化協会(IT協会)主催「IT戦略総合大会」

2011年4月8日(金)力竹 尚子(IT Leaders編集部)

2011年2月16日、企業情報化協会が主催するIT戦略総合大会において、2010年度のIT総合賞を受賞した日産自動車の行徳セルソCIOが講演。受賞理由である同社の中期IT戦略「BEST」の概要とその成果について報告した。

 日産自動車の「BEST」は、ワールドクラスのシステム部門を目指して2005年にスタートしたプロジェクトだ。「Business Align-ment」「Enterprise Architecture」「Selective Sourcing」「Technology Simplification」という4つの目標の頭文字からこの名がついた。

 5年に及んだこの取り組みによって得られた効果は多岐にわたる。例えば、ITコストを見える化し、ROIを算出。ITが創出する価値を数値化する方法論を確立した。さらに、EAの手法を用いて社内のIT資産を最適化。その結果、アプリケーション数を1651から365に削減した。ユーザー当たりのITコストも大幅に低減させた。

 一方で、サーバーやストレージの標準化・統合を進めた結果、12億円のコスト削減に成功。社内のITプロジェクトの要請に応じてリソースを提供するまでのリードタイムも、2週間から1日に短縮できたという。

 さらに、システム業務の内製化を進めるとともに、ベンダー管理の標準手法を策定。選択的・戦略的アウトソーシングを可能にした。同社は2011年4月、対象業務やファンクションごとに最適なパートナー企業を選択するマルチベンダー体制へと舵を切る。

 BESTは成功裡に終わったが、行徳CIOは「社長のゴーンはまたハードルを上げてくるだろう」と述べ、すでに次の一手を用意していることを明らかにした。「VITESSE」と呼ぶ次期IT中期計画だ。仏語でスピードという意味を持つこの名称は、Value、Innovation、TEchnology Simplification、Service Excellenceの頭文字からとったという。

 IT戦略大会ではこのほか、ITビジネス賞(人材マネジメント賞)を受賞したオリンパスソフトウェアテクノロジーの天野常彦社長が登壇。「スキルナビ」と呼ぶ独自システムによる開発担当者のスキルアップ支援策を語った。

 上記2社のほか、2010年度IT賞を受賞した企業は以下の通り。SaaS型環境情報管理システムを構築した小島プレス工業は、ITマネジメント賞(共生戦略推進賞)を受賞した。IT特別賞(サービスマネジメント賞)を受賞したのは、ISO20000導入によりデータセンターの高信頼化を達成したNTTコムテクノロジー。キリンビジネスシステムの「仮想サーバーを利用したプライベートクラウド構築への取り組み」はIT特別賞(ITフロンティア賞)、三菱UFJモルガンスタンレー証券の 「システム投資管理業務の効率化/高度化への取組み」はIT特別賞(IT推進部門賞)を受賞した。 (力竹)

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