新製品ではないが、注目すべき動きと言っていい。トヨタ自動車は2011年4月7日、米マイクロソフトと提携。「次世代テレマティクスサービス」と呼ぶ新・車載情報システムを、Windows Azure上で構築すると発表した。
トヨタ自動車の「次世代テレマティクスサービス」システムは、電気自動車(EV)や家庭用電源から充電できるプラグインハイブリッドカー(PHV)などの車載端末向けに、車両の電力管理や運転支援サービスを提供する。具体的には、バッテリー残量や充電スポット、交通情報などを車載端末に表示する機能を実装する。スマートフォンとも連携し、車内の空調を遠隔制御するといった使い方も可能になる予定だ。2011年7月に構築を始め、2012年にサービスインする。
同社は、拡張性や災害時のリスク分散、低コストといったクラウドの特性を評価。他社が提供する情報サービスとの接続性においても、オンプレミスに勝ると判断した。さらに、Windows環境で開発したIT資産をそのまま移行できることから、Azureを選択した。
カーナビや地図検索、メールなどの機能を提供する既存の車載情報システム「G-Book」も、順次Azureに移行させていく。現在、G-Bookは日本と米国、中国に保有するデータセンターで稼働させているが「将来、こうした自前の設備を持つことはなくなる」(トヨタ自動車の友山茂樹常務)。
この取り組みに際し、車載システムの開発・提供を担当するトヨタメディアサービスは新たに10億円を増資。トヨタ自動車とマイクロソフトが増資を引き受ける。両社の出資比率は未定。マイクロソフトはこのほか、トヨタメディアサービスにエンジニアを派遣しクラウド技術を供与するなど、「社を挙げてトヨタの取り組みを支援していく」(日本マイクロソフトの樋口泰行社長)。
海外では、米フォードモーターや米GMなどがMSと協業。次世代車載情報システムの開発を進めている。