パブリッククラウドを用いたSaaSの導入状況と、クラウドの選定ポイントや懸念事項を調査した。 なお毎回のことだが、ここで示しているのは企業規模や業種などを勘案しない単純集計値である。 回答者が同一の企業に勤務していても重複を排除していない。あくまでも参考値として見ていただきたい。 MM総研+IT Leaders編集部
パブリッククラウドを用いたSaaSの導入状況についてアンケートを実施したところ、1108人から回答を得た。その結果、「すべての部署で導入」(11.6%)、「一部の部署で導入」(39.0%)を合わせると5割を超えた。さらに「導入予定」(23.2%)を含めると7割に達する。企業にとってクラウドは、もはや「特別な存在」ではなくなっているようだ。導入企業(予定を含む817人)に、今後の適用範囲について尋ねると、7割が「広げる」と回答(図2)。クラウド移行への積極的な姿勢が読み取れる。
ではどの業務システムをクラウドへ移行したのか(図3)。グループウェア(38.7%)を筆頭に、電子メール(37.7%)や営業支援(23.6%)などの情報系システムが上位を占める。一方、今後クラウド化したい業務システムを尋ねると、必ずしも情報系だけを対象に検討しているわけではないことが分かる。「財務・会計」(12.8%)、「販売・在庫管理」(11.5%)などが比較的高い値を示しており、基幹系システムもクラウドへ移行し、システム運用の効率化や業務の標準化を徹底しようと考える企業が多いことがうかがい知れる。BI(ビジネス・インテリジェンス)が15.5%と高い点も特筆すべきである。スマートデバイスの普及を機に、外出先からでも必要な情報を参照できる環境が整いつつある。そこでデータの利活用促進を図るため、社内システムを経由せずクラウドから容易にデータにアクセスできる環境を検討するケースが増えているようである。
クラウドを選ぶ際の評価基準を尋ねた結果が図4である。「月額料金」(81.2%)や「セキュリティ対策」(66.6%)などが上位を占める中、「オンプレミスや他のクラウドと容易に連携できるか」、「クラウドの管理画面は分かりやすいか」といった操作性を気にする企業が3割を超える。利用経験のある企業が増えた結果、実際に使用した際の不満を次回選定時に重視したいと考える傾向が強まっているようだ。その他の中には、震災時でもシステムを継続運用できるかどうかを重視するという声も寄せられた。震災を契機に、クラウドに求めるニーズが変化していることが推察される。
クラウドに対する不満や懸念事項を聞いたところ、「クラウドが停止した際の対応が心配」(57.3%)と「データの管理方法が不明瞭」(54.8%)が突出して高い(図5)。クラウドで用いる技術をブラックボックス化せずに公開してほしいと考える企業が、依然として多いことを裏付ける結果となった。
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