「野村証券にiPadを8000台納入する」(7月10日、ソフトバンクテレコムが発表)。「野村証券が全国展開した8000台のiPadでHandbookが採用」(8月9日、インフォテリアが発表)――。大規模なiPad導入事例が続いている。
8000台は野村証券の全国の営業担当者に相当し、普通なら「野村がiPadを全面採用した。証券最大手がスマートデバイスの有用性を認識した証左であり、その活用が加速しそうだ」と書いて終わるところだが、何かが引っかかる。
発表の骨子は「野村証券の全国の営業担当者が顧客ニーズに応じた迅速なサービスを提供できるように、訪問先でさまざまな情報やパンフレットなどを閲覧できるクラウド型の電子カタログサービス」を提供するもの。それにiPadとHandbookを使う。
これらの発表で何が引っかかるのかを考えると、1つはBYOD(Bring Your Own Device)や希望者のみではなく、全営業担当者への一斉配布であること。本人の思いとは関係ないだけに、担当者によっては「iPadを使って情報を次々に見せるだけ」といった使い方になるリスクがあるように思う。顧客満足を高めるような、ユニークなコンテンツやアプリの有無も、発表資料からは見えない。
もう1つは、インサイダー取引や欧州債務危機に伴う営業収益の急減など、野村証券が抱える問題。同社には今、強い逆風が吹き付けている。それはiPadを営業担当者に配布し、「持ち運べる資料を30種程度から300種程度に増やす」(同社)ことを中核とした情報力の強化によるコンサルティング営業で何とかなるものなのか、という疑問だ。
いうまでもなくiPadの活用や情報の更新/閲覧用のHandbookの採用は、8000台という数の多さも含めて、前向きに評価すべきだろう。営業担当者が活用できるかどうかを検討し、コンテンツやアプリを作り込むよりも、ともかく配布して現場からの声をもとに使い方を工夫するべきという見方もできる。
だが8000台ともなると、1台あたりの単価を4万円としても導入費用は3億円を超える。逆風の中で投資効果をどう上げるのか。野村証券にはスマートデバイス活用に向けた独自の工夫や取り組み、そして成果を示してほしい。
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