ロンドン五輪に出場した米国の選手は男子が261人、女子が269人。女子選手の数が男子を初めて上回った。だからというわけでもないが、今回は米国IT業界における女性の活躍状況をお伝えしたい。
知恵や人脈求める女性たちがネットワーク作り
業界内の女性たちは、こうした現実を黙って甘受してはいない。といっても、権利を盾にただ騒ぎ立てるのではなく、男性と互角にわたり合う知恵や工夫を分かち合う。そのためのコミュニティ活動が盛んだ。一例が、Tech Womanである。同コミュニティは、シリコンバレーで毎月第4木曜日に会合を実施し、IT業界で働く女性の人脈作りやモチベーション向上を支援している。筆者は野次馬よろしく、7月の会合に出席した。
開始時刻の午後6時、会場となったXeroxパロアルト研究所のカフェテリアに約50名の女性が集まった。今回は、「女性とイノベーション」をテーマに4人のパネラーが自分たちの経験談を語るという趣向だ。司会を務めたのは、フランシーン・ゴードン氏である(写真)。彼女は大学で組織行動学の博士号を取得し、スタンフォード大学ビジネススクール助教授に就任。その後、ボストンコンサルティングなどを経て、2002年にF Gordon Groupを設立した。現在、チームワークやリーダーシップに関するコンサルティングやトレーニングを提供している。

さて肝心のパネラーとして登壇したのは、大手IT企業の要職に就き活躍している女性リーダーたちだ。パロアルト研究所でクリーンテックイノベーションプログラムの中核を担うコリー・コブ氏、インテルの主席エンジニアであるラヒマ・モハメド氏、HPでリサーチマネジャーを務めるジャニス・ニッケル氏、そしてNouvoyance社長兼CEOのキャンディス・エリオット氏である。
Nouvoyanceについては、少々説明が必要かも知れない。同社は、フラットパネルディスプレイ技術のリーディングカンパニーである。FairchildやAMDなどの半導体メーカーで腕を磨いて独立したエリオット氏が、2008年に設立した。エリオット氏は71の特許を持ち、その技術をスマートフォンメーカーに供給している。余談だが、同氏が持っているのは特許だけではない。小型機操縦の教官資格も保有している。サンフランシスコ北に位置するサンタローザ市の自宅からシリコンバレーにあるオフィスまで、自家用飛行機で通勤する毎日という。
そうそうたる顔ぶれをそろえて、パネルディスカッションは大いに盛り上がった。パネラーたちは自らの経験談を語り、「あなた方全員がイノベーター、インべンターになる可能性を秘めている」と参加者を激励。「結婚しても仕事と趣味を持ち続けること」「右脳と左脳をバランスよく使うこと」など、先達としてのアドバイスを披露した。
会員登録(無料)が必要です
- > 前へ
- 1
- 2
- 3
- 次へ >
- 現地レポート─新型コロナで一変したシリコンバレーの経済・社会・生活(2020/04/06)
- 2017年のITトレンドを占う5つのキーワード(2017/01/13)
- スタートアップの結末、ベンチャービジネスは必ずしも成功せず(2016/08/08)
- サービスエコノミーはシェアリングからトラストへ、非正規雇用の”ギグエコノミー”が拡大(2016/06/14)
- シリコンバレーはバブルから安定成長へ?! ベンチャー投資は全米の4割強を占めるも伸びは前年比7.5%増(2016/05/06)