今日の情報システムは企業を支え、ビジネスを戦略的に遂行するための武器でもあります。その構築・実現を担うIT人材の育成は、あらゆる企業にとっての最重要課題にほかなりません。本連載では、企業のITリーダー=IT戦略・情報システム責任者が、いかにしてIT人材育成・活用を推し進めていけばよいのかを掘り下げていきたいと思います。
経営トップが掲げる戦略をサポートするために優秀なITスタッフを確保しておくことがいかに重要であるかということが、ユーザー企業の間でも強く認識されるようになってきました。現に、私自身が策定に深くかかわる「CCSF(統合スキル標準:ITSS、UISS、ETSSを統合して使いやすくしたもの)」に対する企業の関心も確実に高まっています。本連載の第3回で報告した2013年末のスキル標準ユーザーズカンファレンスの盛況ぶりからも明らかです。自社のIT人材戦略を練り直そうという動きは、2014年においてもますます活発化することになりそうです。
しかし、実際に企業を訪問していて感じるのは、そうしたCIOの考え方が現場のスタッフ、とりわけ中間管理層との間でしっかり共有できていないということです。こうした状況では、仮に育成プロジェクトを展開したところで十分な効果は期待できません。テーマが“生身の人”にかかわる問題であるだけに、責任者が発するメッセージや、行動から浮かび上がる姿勢は、関係当事者のモチベーションに直接的に作用するのです。CIOの方々には、自ら率先して“現場に下りていく”ぐらいの意識を持って、この問題に主体的に取り組んでいただきたいと思います。
以下では、今年から自社のIT組織の人材育成に本格的に取り組まれようとしているCIOやIT部門長、人材育成推進担当者の方々に向けて、特に重要と思われる観点を2つ挙げてみます。
ファンクションを起点に求める人材像を描く
IT人材の育成というテーマに取り組むにあたってまず欠かせないのは、「あるべき姿(To Be)」を描くこと。でがが、難しいのがその「描き方」です。
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