今日の情報システムは企業を支え、ビジネスを戦略的に遂行するための武器でもあります。その構築・実現を担うIT人材の育成は、あらゆる企業にとっての最重要課題にほかなりません。本連載では、企業のITリーダー=IT戦略・情報システム責任者が、いかにしてIT人材育成・活用を推し進めていけばよいのかを掘り下げていきたいと思います。
2013年12月6日、目黒雅叙園で特定非営利活動法人スキル標準ユーザー協会(SSUG)主催の年次カンファレンス 「スキル標準ユーザーズカンファレンス2014」が開催されました。年に一度のスキル標準をテーマにした日本最大規模のイベントに、1000名近い事前登録があり、大盛況で幕を閉じました。今回のカンファレンスにおける焦点は、3つのスキル標準を統合した「CCSF(共通キャリア・スキルフレームワーク)」です。2003年12月に策定されたITSSから10年、時代の移り変わりを感じます。今回は、カンファレンスの講演内容から、いくつか特徴的な題材をピックアップしてご紹介します。
世界最先端IT国家創造宣言とIT人材育成
午前の基調講演は、経済産業省によるもので、同省 商務情報政策局 情報処理振興課 課長補佐の村上貴将氏が「経済産業省の情報政策」と題した講演を行いました。
はじめに、内閣官房が進める「世界最先端IT国家創造宣言」について説明がなされました。これは2013年6月に打ち出され、10月から具体的な計画作りに入っています。ここに含まれる人材育成分科会に筆者も委員として参画しており、経済産業省/IPAも大きな役割を果たすことになっています。図のように工程表も公開されていて、もはや待ったなしで推し進められていくことになりますが、キーワードとして「スキル標準」が明示されており、CCSFを基に検討していく流れになっています。
図 世界最先端IT国家創造宣言の工程表
そのCCSFの概要もあらためて説明されました。CCSFは、ITSS(ITスキル標準:技術者向け)、UISS(情報システムユーザースキル標準:ユーザー企業IT部門向け)、ETSS(組込みスキル標準)という内容・構成の異なる3つのスキル標準を整理統合し、使いやすくしたものです。
また、「サイバーセキュリティ戦略」と「次世代高度IT人材(融合IT人材)育成」についても語られました。前者は、スキル標準の中にセキュリティ人材を組み込んでいくという内容で、CCSFを基にした戦略がすでに作成されています。
後者については、産業構造審議会の情報経済分科会・人材育成ワーキンググループから出ている提言「専門分化から融合人材、マルチスキルへ」を基に説明がなされました。急速に変化していく環境を前提に、経済産業省におけるIT人材育成政策の現状と今後の方向性が紹介されました。
これらのほか、IPAで実施している「未踏IT人材発掘・育成事業」や「セキュリティ・キャンプ」などの紹介があり、IT分野での人材育成の重要性があらためてアピールされました。
会員登録(無料)が必要です
- 1
- 2
- 次へ >
- IT人材育成のキラーソリューション「iコンピテンシ・ディクショナリ」活用ガイド(その12)(2015/02/13)
- IT人材育成のキラーソリューション「iコンピテンシ・ディクショナリ」活用ガイド(その11)(2015/01/23)
- IT人材育成のキラーソリューション「iコンピテンシ・ディクショナリ」活用ガイド(その10)(2014/12/24)
- IT人材育成のキラーソリューション「iコンピテンシ・ディクショナリ」活用ガイド(その9)(2014/10/29)
- IT人材育成のキラーソリューション「iコンピテンシ・ディクショナリ」活用ガイド(その8)(2014/10/08)