今や、モバイル活用は企業ITの最重要テーマの1つ。しかし、モバイルアプリの開発には全く土地勘がないという読者も多いのでは。分からないことは先達に尋ねるのが一番だ。本連載では、ニフティ、はてな、GREEでコンシューマ向けサービス開発の最前線に立ってきた伊藤直也氏に、モバイルアプリ開発の定石を聞く。(緒方 啓吾=IT Leaders編集部/監修:伊藤直也)
Q4:モバイルアプリはどこに発注すべきか?
A:可能な限り、内製することを勧める。モバイルアプリに詳しい技術者を自社で雇用し、社内で開発するのが理想的だ。というのも、モバイルアプリの開発と受託開発は、相性があまり良くないからだ。
モバイルアプリの開発では、”作っては壊す”を繰り返す。試行錯誤の連続である。あらかじめ正解を定めず、顧客からのフィードバックに応じて、柔軟に変更を加える。開発期間中に方向転換を図ることも珍しくない。事前に成果物を確定させることが難しく、受託側のリスクが大きい。
発注側にもデメリットがある。変更が発生する度に見積もりを取り、発注書を出すといったプロセスを踏んでいると、開発のスピードが失われてしまう。アプリの方向性が間違っていると気が付いた時の軌道修正も遅れがちになる。しかも、モバイルアプリにとってリリースはスタートに過ぎない。継続的に開発しなければならない。
もちろん、発注者の努力や工夫で、こうした問題もクリアすることも可能だ。しかし、内製ならば、初めから負担を回避できる。モバイルアプリに注力する企業の中には、業務システムはこれまで通り外注しつつ、モバイルアプリの技術者については自社採用するといったケースも見られる。
もし、外部に頼らざるを得ない場合は、社内に常駐してもらい、自分たちの指示に従って、動いてもらえる体制を敷くことを勧める。
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