サーバー、ストレージから始まった仮想化は、ネットワークの仮想化へとつながってきた。データセンター全体の仮想化や、ネットワークで接続された複数のデータセンター全体の仮想化が実現されれば、よりダイナミックにコンピュータ資源を利用できるインフラが整うことになる。その先に待っているのが、多種多様なモノがネットにつながるIoT(Internet of Things:モノのインターネット)の世界だ。
2004年3月14日、O3(Open organic Optima)が研究成果を披露するシンポジウムを開催した。O3は総務省の予算によって、イーサネットから無線、WDM(光波長多重通信)までの広い範囲を対象にしたネットワークの仮想化を目指している。NTT持ち株会社、NTTコミュニケーションズ、NEC、富士通、日立製作所の5社が参加する。
こうしたキャリアレベルの仮想ネットワーク技術の確立と標準化によって、サーバーやストレージの仮想化と統合された環境の構築が可能になる。それは、運用の容易性やネットワーク品質の改善へとつながり、コンピュータ資源をよりダイナミックに利用できるクラウド環境が整うことになる。
2020年には500億個の様々なモノがインターネットにつながる
クラウドのインフラが強固になればなるほど、その応用も加速する。その1つがIoT(Internet of Things:モノのインターネット)の流れだ。IoTとは、これまでインターネットに接続されていなかった多種多様なモノがインターネットに接続され、新しい価値やビジネスを生み出していく流れである。米Cisco Systemsはこれを「IoE(Internet of Everything)」と呼んでいる。
米HPの報告では、2020年にはモバイル端末を含め500億個の様々なモノがインターネットにつながる。モノ自体や、モノの情報通信に必要な通信機器、その接続によって得られる情報の処理や蓄積のためのクラウド市場が生み出され、2020年にIoTが創り出す経済付加価値は、1兆9000億ドルに達するという。
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