クラウド、ビッグデータ、ソーシャルメディア、スマートフォン、ウェアラブルデバイス・・・。過去数年間のITトレンドをつなぎ合わせると、企業ITを取り巻く環境が大きく変化していることが分かる。今後、企業ITはどこに向かうのか、情報システム部門はどう向き合うべきか。ガートナーでヴァイスプレジデント兼フェローを務める、Dave Aron氏に話を聞いた。
企業ITは、新しい時代に突入しつつある。これまでの過去15年間、企業ITのテーマは「業務プロセスのIT化」だった。ERP、CRM、財務、人事などのシステムを導入し、業務プロセスを効率化する。しかし、今後は、テクノロジーを活用して、新しいビジネスモデルを創出したり、今までにない顧客体験を生み出したりすることが最重要課題になるだろう。
背景にあるのは、デジタル世界の拡大である。スマートフォンの普及や、センサーネットワークの拡大、ソーシャルメディアの登場によって、現実世界のさまざまな情報が手に入るようになった。多様な形式のデータを扱うためのテクノロジーも登場している。コンピュータが扱える世界が急速に拡大しているのである。
こうした環境の変化を背景に、企業ITは、既存の業務をデジタル化する「デジタイズ(digitize)」の時代から、デジタル化した世界に合わせて企業を変革する「デジタライゼーション(Digitalization)」の時代に入るのだ。
「またか」と思われた読者もいるかもしれない。IT業界では、何度となく「世の中が変わる」といった言説が繰り返されてきた。ASP(Application Service Provider)、仮想化、オブジェクト指向開発・・・。今回もオオカミ少年が騒いでいるだけだと考える読者も多いだろう。
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