シトリックスの「Citrix CloudPlatform」と、ネットアップの「NetApp FASシリーズ」を組み合わせた“クラウド基盤バックアップソリューション”について、ネットワンシステムズが詳細な検証を行った結果をホワイトペーパーとして公開した。本案件にかかわるキーパーソンに話を聞いた。
ビジネスの俊敏性をいかに高めるか──。企業が何らかのシステム化案件に臨むとき、その基盤としてクラウドを検討することは今や当然の流れとなっている。もっとも、後々の運用フェーズまでも含めて大局的な視点を持っていなければ、せっかくのクラウド技術のポテンシャルは充分に活かせない。
インスタンスのスナップショットやバックアップ/リストアなどにユーザー自身が対処できる技術も登場し、今やミッションクリティカルなシステムをクラウド環境に移行するケースも見られる。しかし、こうした機能が有用であればあるほど、クラウド全体への影響やシステムの制約を考慮してシステムを構築しなければ、運用コストの肥大化を招きかねないのだ。
欠かせないのは、クラウド基盤を構築するシステムの制約や性能を、できるかぎり理解しておくこと。この領域で実績を積んできたネットワンシステムズでは、クラウド管理ソフトウェア、サーバやストレージ、ネットワークなどについて、連携機能やパフォーマンスを含めて詳細に検証した結果を公表、クラウドの導入を検討している企業向けにホワイトペーパーとして提供している。
本稿では、シトリックス・システムズ・ジャパンの「Citrix CloudPlatform」とネットアップの「NetApp FASシリーズ」を組み合わせた“クラウド基盤バックアップソリューション”について、詳細な検証を行ったネットワンシステムズを含めて、3社のプロフェッショナルに話を伺った内容をまとめる。
オープンソースのメリットと
エンタープライズグレードの安心感を提供
CloudPlatformは、オープンソースソフトウェアのApache CloudStackをベースとした商用クラウド管理ソフトウェアである。地理的に分散した数万のノードを集中管理できるスケーラビリティを持ち、大規模なクラウド環境を容易に運用することが可能となる。
CloudStackがコミュニティ主導でさまざまな機能を積極的に取り込んでいる一方で、CloudPlatformでは商用ユーザーから要望の多い機能を中心に取り込み、安全性・安定性の高いソフトウェアを目指して開発されている。シトリックスによる有償サポートや、XenServerライセンスもバンドルされており、安心して安価に運用できる体制が整えられている。
シトリックス・システムズ・ジャパン リードシステムズエンジニアの山村剛久氏によれば、CloudPlatformには3つの特徴があるという。
1つ目は「セルフポータル」を提供していることだ。この機能を用いると、エンドユーザーが自分自身でインスタンスやネットワークをプロビジョニングして利用できるため、単なる仮想化環境よりも俊敏性が大幅に向上する。
「すでに、多くの企業で仮想化環境の整備は進んでいます。しかし、多くのケースでは、エンドユーザーが必要な環境を用意するには、管理者に申請をし、そこに人が介在することにより提供まで数日のタイムラグが発生します。CloudPlatformを利用すれば、使いたいときに数分で環境を自ら用意できるようになり、管理者の負担も大幅に軽減されます。」(山村氏)。
2つ目の特徴は「マルチテナント」に対応していることだ。すでに国内の大規模サービスプロバイダーにおいて、パブリッククラウドサービスを提供するために活用されている。大規模なエンタープライズや大学キャンパスでも、プライベートクラウドを構築し、各事業部門や各研究室へ個別のサービスとして提供する例が増えているとのことだ。
3つ目は、「マルチハイパーバイザー対応」である。XenServerだけでなく、VMware vSphere、KVM、Hyper-Vなどにも対応しており、ユーザーが最適なものを選択できる。「主要な4製品の全てに対応し、実際に商用/本番環境で運用されているIaaS基盤ソフトウェアは、他にはないでしょう。」(山村氏)。