ビジネスを取り巻く環境が大きく変化する中、情報システムにも変化に迅速に対応できるだけの柔軟性・俊敏性が強く求められている。しかし、ミッションクリティカルなシステムを中心としたメインフレーム依存が運用コストなどを押し上げ、現状への最適化を妨げているケースが少なくない。現在のITコスト構造を維持中心から戦略的投資中心に転換するための方法としてモダナイゼーション(近代化)がある。これまでも重要性が指摘されてきたモダナイゼーションだが、もう先送りは許されない。
本来、IT投資は戦略性が高い対象に向けられるべきである。にもかかわらず、バックログの解消やシステムの維持にコストを費やさざるを得ない企業が少なくない。現状を打破するために戦略的なシステム投資を検討するものの、リスクを読み切れず新たな投資を躊躇しているケースもあるが、維持コストそのものが経営を圧迫しているのが実状だろう。
過去、オープンシステムの登場やY2K(西暦2000年)問題、あるいは最近のクラウドコンピューティングの台頭を受けて、メインフレームからの脱却やベンダーロックインからの解放に向けた取り組み、すなわち本連載のテーマである「モダナイゼーション(近代化)」が議論され実施されてきた。
にもかかわらず、冒頭のような現状にあることは、従来のモダナイゼーションが不十分に終わっていることの表れだともいえる。せっかくオープン化を図っても、結果的にベンダーロックインされているケースもあるだろう。モダナイゼーションでは、既存システムの移行だけでなく、その後のシステムの運用・保守にも十分に検討する必要があることが分かる。
効果を出しやすいマイグレーション手法
本連載では、モダナイゼーションの中でも、これまでの知見から効果が最も出しやすいマイグレーションに焦点を当てていく。
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- 【第11回】マイグレーションに“終り”はない(2015/11/24)
- 【第10回】ポストマイグレーションの保守・運用を当初から考える(2015/10/26)
- 【第9回】最も手間が掛かる帳票のマイグレーション(2015/09/28)
- 【第8回】現行システムの凍結期間は最短化する必要がある(2015/08/24)
- 【第7回】マイグレーション工数の3〜5割を費やすテスト(2015/07/27)
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