グローバル経営やグループ経営が求められるこの時代、「本社」の機能や、そこに属するシステム部門の機能はどうあるべきなのか。悪しき例を挙げながら、今一度考えてみよう。
いくつかの会社の経営に関与していると、経営スタイルや企業文化などの違いがいろいろ見えて面白い。危機に瀕してドラスティックに変わった会社もあるが、多くは伝統的な経営スタイルを踏襲している。社長が交代しても経営計画の見直しはするが、経営スタイルが変わることは滅多にない。
その中で「本社」という機構や機能を見てみるとさらに面白い。一極集中の統制型の本社もあれば、事業部に権限を持たせ、本社は管理主体になっている会社もある。買収やM&Aによる経営統合が活発になり、連結決算、グループ経営、グローバル経営に重点が置かれる今日では、持ち株会社が事業会社を統制する経営スタイルも多くなった。
本社とは登記簿にも記載される企業経営の中枢となる事業所であり、多くは経営企画部門や管理部門などの間接部門で構成されている。システム部門もほとんど本社機能の中に置かれている。それらは事業や業態に合わせて適切であればよく、「これが標準」とか、「これが推奨」というようなものではない。しかし時々、「これはダメ」という本社がある。
管理部署に成り下がった本社には無駄なコストがかかる
筆者が感じる“ダメ本社”には2つのタイプがある。1つは肥大化する本社である。戦略性のないまま細分化された専門部署がどんどん増え、縦割りと膠着が悪化していく。もう1つは権限委譲という名の下に事業部門やカンパニーなどに経営企画も含めて丸投げし、ガバナンスも戦略性も持たない本社である。
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