住宅総合メーカーから「人・街・暮らしの価値共創グループ」へと業容拡大に取り組む大和ハウスグループ。グループのIT戦略を統括する加藤恭滋氏がIT部門のミッションとして掲げたのは「企業の成長に合わせ、価値のあるITをスピーディーに提供すること」だ。ミッションの遂行にあたって加藤氏と情報システム部が挑んだ構造改革の実際を、ガートナー アウトソーシング&ITマネジメント サミットの特別講演から紹介する。
「信頼される情報システム部」を目指して
大和ハウス工業は、プレハブ工法を編み出し工業化住宅/工業化建築を世に普及させたご存知の業界最大手だ。近年は強みの住宅に加えて、商業・事業施設、物流、環境・エネルギーなど時代の変化を捕捉して事業を多角化させている。グループ140社・3万5000人の従業員を擁して2015年3月期に2兆8000億円を売り上げた同社は、みずからを「人・街・暮らしの価値共創グループ」と位置づける。

大和ハウスによって2015年は創業60周年という節目の年であり、グループの経営は2013年4月にスタートした第4次中期経営計画(2016年3月末まで)の最終年度にあたる。同経営計画では、コア事業、多角化事業、新規事業のそれぞれにおいて成長戦略が描かれ、併せて経営課題として「ものづくり機能の再整備」「事業拡大に伴う体制・人財の強化」が掲げられている。
大和ハウスの中期経営計画はいずれの期においても早期達成が常で、いわば前倒しで事業が展開されるという。広範な領域でスピーディーに展開される多数の事業を、ITを駆使して支えるのが、ほかならぬ情報システム部だ。
執行役員 情報システム部長としてグループ全体のIT戦略を指揮する加藤恭滋氏(写真1)は、業容拡大を支える側にとっての課題を次のように話す。「3年間で計画したプロジェクトが、期限を待たずして完了し次が始まる。情報システム部にとっては非常にきついが、前倒しの事業展開に合わせて、IT部門もスピードアップしなくてはならないと考えた」。
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