シリコンバレーで働くことが過酷なことは、エンジニアに限らない。創業者や経営者も、投資を受けたベンチャーキャピタルから厳しい追及を受けたり、マスコミに対応したり、あるいはIPO(株式公開)に向けた準備など休まる暇はない。そんな彼らの人気を得ているのが“禅(Zen)”と“瞑想(meditation)”である。

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シリコンバレーの中心に位置するマウンテン・ビュー市の閑静な住宅街の中に「カンノンドウ」という施設がある。禅の瞑想センターだ(図1)。週日は朝の5時半からと正午から、それぞれ30分間の禅修行を、水曜日と土曜日は禅修行に加え講話が催される。誰でも無料で参加できるが、月会費30ドルで正規会員になれる。
こうした禅瞑想センターが、シリコンバレー周辺ではサンフランシスコ市やバークレー市など計5カ所にあり、それぞれが人気を博している。米Googleなどの大手企業では、社内トレーニングの一環として「Search Inside Yourself」を掲げる禅に則した瞑想講座を社員に提供してもいる。
hackathonに参加しRed Bullにはまる若者も
ITエンジニアの仕事が、ストレスのかかる仕事であることは洋の東西を問わない。開発納期はもとより、社内の同僚や関連部門からの軋轢にさいなまされている。1ビット、1文字の欠落も許されないからだ。ソフトウェアエンジニアのバイブルともいえる『人月の神話』の著者であるFrederick Brooks氏は、IEEE学会誌の1987年4月号で「ソフトウェアエンジニアの仕事は『the hardest thing we do』だ」と言っている。同氏は、コンピューターの世界にOS(基本ソフト)の概念を確立した米IBMのメインフレーム用OS「OS/360」の開発責任者でもある。
最近では、10代のときから各種のhackathon(ハッカソン)に参加し、夜通しでコーディングに勤しみながら、カフェインやアミノ酸を強化した炭酸飲料の「Red Bull」や「Monster Energy」に染まってしまう若者も増えている。シリコンバレーの会社では、カフェテリアでRed Bullを社員に無料で提供するところも多い。
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