高度情報通信人材育成支援センター(略称CeFIL、横塚 裕志 理事長)が、大手企業の経営幹部層を集め3日間に及ぶ「デジタルビジネス研修」を2015年11月末に実施した。果たして内容はどんなものか。経営幹部層を3日間も缶詰にした意味はあったのか?
図1:米Googleや米Amazonなどが、いつ異業種参入してくるか分からない拡大画像表示
「デジタルが既存ビジネスを壊し始めている。例えば中国のアリババは銀行業務に参入している。米Googleや米Amazonが、あなたの業界に進出してきたとき、企業はどのように競争力を確保していくのか(図1)。テクノロジーの活用が課題なのは確かだが、それ以上に重要なことがある。今までの経営のあり方で良いのか。失敗を許容する経営を作らず、単にテクノロジーを取り込むだけでは成功は、おぼつかないのではないか。どんな組織や風土で、どのような商品サービスを生み出すのかを、企業は考えなければならない。つまり、どのように経営をしていくのかにデジタルビジネス時代を勝ち残る最終的なフォーカスがある」
日本経済団体連合会(経団連)が主導し、有志企業11社が設立した高度情報通信人材育成支援センター(略称CeFIL、横塚裕志理事長)。本紙では、そのCeFILが「デジタル・ビジネス研究所(仮称)」を2016年度に設置する構想を進めていることや、その検証の意味を含めた研修を11月に開催予定であることをお伝えしてきた(図2、関連記事1、関連記事2)。
図2:デジタル・ビジネス研究所(DBII、仮称)の概念拡大画像表示
冒頭のコメントは、その検証研修で横塚理事長が語った言葉である。まさしく、その通りだと筆者は思う。大きな失敗は問題だが、何らかの成功を得るには数多くの小さな失敗があるはずだからだ。
経営幹部を3日間缶詰に、半日とか本を読むだけでは戦えない
では、CeFILの検証研修はどんなものなのだったのか。初日の前半だけだが、参加する機会を得たので報告したい。参加者は商社や航空会社、自動車関係といった大手一般企業から大手IT企業までの幹部クラス約20人。場所は東京郊外の研修所で、3日間泊まり込んでの研修である。
11月とはいえ年末の近づく時期に、経営幹部が3日間も業務から離れる研修には無理がある気もする。だが横塚理事長は、「半日とか本を読むだけとかで戦えるのか。何かを得るには、これくらい集中して聞いたり議論したりするべき。そういう機会が日本には足りない。今後、中堅社員向けには5日間の研修も企画する。それだけの時間を投入することが大事だ」と力説する。
図3:研修プログラムの概要拡大画像表示
図4:研修プログラムの詳細拡大画像表示
研修全体のプログラムの概要と詳細を図3と図4に示す。目玉の1つは、協力を得ているシンガポール経営大学(SMU)の教授陣による講義(ディスカッション)だ。Patrick Thng氏は世界銀行のCIOを務めた経験を持つITのプロフェッショナル。Robert J. Kauffman氏も情報システムを専門とする世界的に著名な教授である。
そんな人たちが「Digital Transformation」や「Organizing for Digital Innovation Success」「 Emerging Technologies and Innovation(IoTやAIなど)」について解説し、議論もできるのだから、貴重な機会であることは間違いない。しかも参加者数は20人なのに、コストが掛かる同時通訳もあった。
時間の関係で、その講義は聴講できなかったので、1日目最初のプログラムであるガートナージャパンのエグゼクティブ プログラム エグゼクティブ パートナーである小西 一有 氏の講義の中身を紹介しよう。
ガートナーは毎年、世界各国のCIOを調査してIT化の指針をまとめている。最新の『CIO Agenda2016』の回答者は84カ国、2944人のCIO。回答企業の売上高を合計すると11兆ドル、IT支出は2500億ドルに上る(本誌注:売上高IT投資比率は2.3%)。小西氏は、その紹介から口火を切った。
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