クラウドの進化が続いている。パブリッククラウドでは、AWS(Amazon Web Services)やMicrosoft Azureのビジネスが好調で、様々な機能拡張がなされている。一方、プライベートクラウドでは、OSS(Open Source Software)の「Openstack」の存在感が高まっている。これらの話題を基に、クラウドの今とこれからを考えてみたい。
クラウドサービス事業者の2015年第2四半期の業績が発表された。それらによれば、米AmazonのAWS(Amazon Web Services)の売上高は18億ドルとなり前年比で86%の成長を見せた。米Microsoftのクラウド事業全体の売上高は59億ドルで、Azure事業は前年の倍だという。米IBMのSoftLayerも70%以上の成長と発表されている。
また2015年10月27日から30日にかけては、クラウド構築用のOSS(Open Source Software)の国際会議「Openstack Summit 2015」が日本で初めて開催された。同SummitはOpenStackコミュニティにとって重要な意味を持ち、今回は、よりエンタープライズのニーズへの対応が強調された。
寡占化が進むパブリッククラウド
AWS、Microsoft、IBMのトップ3社の好調な業績からは、クラウドの需要の増大がうかがえる。その一方で、米HPの「HP Helion Public Cloud」のように、パブリッククラウド事業から撤退をする動きも出てきている。米調査会社のStatistaの調べによれば、2015年上半期の米国におけるIaaS市場のシェアは、AWSが27.2%、Microsoftが16.2%、IBMが11.8%であり、3社で55.2%を占める。4位は米Google社の3.6%だから、トップ3社による寡占化が進んでいることになる。
日本のパブリッククラウド市場では、IaaSとPaaS(Platform as a Service)を合わせた利用率の上位は、1位のAWS(41.4%)以下、Azure(18.7%)、Google Cloud Platform(12.7%)、NTTコミュニケーションズCloud n(10.8%)、富士通Cloud IaaS Trusted Public S5(9.2%)が続く(MM総研調べ)。ここには、IBMのSoftlayerがランクインしていないが、2014年12月に東京データセンターを開設し追い上げを図っている。
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