これまで、伝統的な課金システムの様々な面について説明してきました。技術の進歩やビッグデータ、ソーシャルメディアの台頭が課金システムに対し、どんな新たな要求やアーキテクチュアーを求めているかにも触れました。最終回は、ここ数年の新しい動きであるクラウド課金サービスについて見てみましょう。
課金の仕組みをクラウドサービスとして提供するプロバイダーは大きく2分されます。1つは、カナダのCGIやRedknee、米MetraTechといった既存の課金システムベンダーで、クラウド化により顧客拡大を狙っています。他方は、米Ariaや米Zuoraといった小規模の新興ベンダーで、新しいアプローチによって市場に踏み込もうとしています。
いくつかのプロバイダーは、数千から数十万の加入者に限定的なサービスを提供しています。中には、何百万もの加入者をサポートする巨大企業にサービスを提供するプロバイダーもいます。
通信事業者にとって、課金システムが市場ニーズに迅速に対応できるかどうかは重要なポイントです。特に、新規サービスの立ち上げ時に、インフラや製品の導入作業が不要で迅速にサービスを提供できるクラウド課金サービスは、その点で大きな魅力があります。
しかしながら、通信事業者のクラウドサービスの採用率は極めてゆっくりとした伸びしか示していません。なぜでしょうか。その理由を考えるために、クラウド課金サービスのメリットとデメリットを見ていきましょう。
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