進化が続くITは、あらゆる産業に多大な影響を及ぼしているのは周知の通り。そんな状況下にも関わらず、企業ITはじわじわと悪化、劣化している。これを阻止できるのは経営トップとCIOしかいない。危機感を持って、いますぐアクションを起こさなければ、今後10年に多大な影響を及ぼすことになるだろう。
現場を離れてからも、筆者はずっとユーザー企業の立場から情報システムやITを客観視してきた。活動時間の半分くらいを費やしている社会活動も自らのビジネスも、多くがそれに関わっている。
例えば東日本大震災が起こる1カ月前に立ち上げたNPO法人「ビジネスシステムイニシアティブ協会(BSIA、発足当初は任意団体のシステムイニシアティブ研究会)」や、2009年から続けているコミュニティ「CIO賢人倶楽部」は、企業経営を支える情報システムを健全に育んでほしい、そして世界に打って出てもらいたいという思いで仲間たちと微力を尽くしている。しかし、この5年間を振り返ると状況は良くなるどころか、確実に悪化している。
劣化する情報システム部門
企業が主体的に情報システムを構築し活用しなければ、経営の武器として有効に活かせないのは自明の理である。それどころか、”エクスポーネンシャル(級数的に進化する)テクノロジー”という言葉があるように、進化が続くITは金融、製造、医療、交通、あるいは農業など、あらゆる産業に多大な影響を及ぼしつつある。そんな環境にも関わらず、企業ITはじわじわと悪化、劣化しているのだ。
米国企業とよく比較されるのがシステム作りの主体性とスピードである。例えば日米では情報技術者の配置状況に決定的な違いがある。IPA(情報処理推進機構)のIT人材に関わる調査報告書(2011年、https://www.ipa.go.jp/jinzai/jigyou/back.html)によると、日本のユーザー企業内の情報技術者数は情報サービス企業内の3分の1しかいない。米国はほぼ逆で、3倍近くがユーザー企業内にいる。この歴然とした差は主に主体性の有無を生じさせ、経営と情報システムのあり方を根本から異なるものにしている。
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