多くの企業において、業務システム群はサイロ化し部分最適に陥っている。データ活用の巧拙が業績を大きく左右する時代にあって、あらためて重要性が指摘されているのがマスターデータマネジメントの取り組みだ。成功に導くポイントは何か? この分野に詳しい米ガートナーのアナリスト、ビル・オケイン(Bill O’Kane)氏(リサーチ部門 バイスプレジデント)に話を聞いた。
IoT(モノのインターネット)、モバイル、AI(人工知能)…。様々なテクノロジーの進化によって、企業の眼前には、自社のビジネスを高度化させたり、これまでにはなかった競争力を備えたりする可能性が広がっている。そうした時代を迎えたからこそ、より重みを増してきているのがインフォメーションマネジメント、もっとピンポイントに言えばマスターデータマネジメント(MDM)の取り組みだ。
米ガートナーのリサーチ部門でバイスプレジデントを務めるビル・オケイン(Bill O’Kane)氏周知の通り、マスターデータは日頃のコンピュータによる業務処理において、複数のビジネスプロセスによって使用される、常に一貫性と統一性を備えているべきデータセットである。顧客マスターなどは典型的なものだ。きちんとしたマスターデータを整備し、維持できる体制が整っていなければ、現場の業務はちぐはぐなものになるし、データに基づくアクションの精度も甘くなる。つまりは、これからのデジタルビジネスの根幹を支えるのがMDMなのだ。
そうした問題意識が広がっているのは確かで、我々への問い合わせも実務的な内容が増えている。MDMにこれから着手する、あるいは具体的な検討を始めるという企業に対するアドバイスとして、必ず提示しているのが図にあるフレームワークだ。ここで何を一番言いたいかというと、MDMに取り組む上で、何よりも重要なのは「ビジョン」、つまりは「何が問題なのか、なぜそれをやらなければならないのか、それをやった結果としてどんな価値を得ようとしているのか」といったことを、関係者全員が理解し納得しておくことが欠かせないということだ。
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