[インタビュー]
ビッグデータ、HPC、IoT、Edge/Fog、AI……ITの潮流遷移と“次”の注目技術
2017年11月17日(金)河原 潤(IT Leaders編集部)
2017年で設立10周年を迎えた米グリーン・グリッド(The Green Grid)。めまぐるしい潮流遷移の中、コンピューティングやネットワークの諸課題に対して、会員企業やユーザーとの連携によって解を追究してきた同団体が次の10年で見据えるものは何か。会長を務めるロジャー・ティプレイ氏に、最新のトレンドを中心に話を聞いた。
interview:河原 潤 text:柏木恵子 photo:赤司 聡
ヒト・地球環境・ビジネスのサステナビリティ
――現在、グリーン・グリッドは重点課題の1つにサステナビリティを挙げています。これはどのような定義がなされているのですか。
サステナビリティは地球環境保護の分野で言われ始めた言葉で、一般的には環境に配慮することを指している。しかし、我々が言うサステナビリティはそれだけではなく、「地球環境の課題解決」「ヒト・社会の課題解決」「経済・ビジネスの課題解決」の3軸でとらえている(図2)。
この3軸すべてを成り立たせるのは容易ではない。しかしながら、地球環境への活動ばかりというわけにはいかない。経済や企業事業継続性は重要だし、ひいてはヒトや社会に好影響がもたらされなくてはならない。これらを高いレベルで探求することをサステナビリティと位置づけ、ITの持続可能性を高めることがグリーン・グリッドのミッションである。

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IoTで核となるエッジ/フォグモデルとそこでの課題
――ビッグデータ、IoT、ディープラーニングによるAIなど、新しいタイプのワークロードの出現は、コンピューティングやデータセンターにどんな変革を求めているのでしょう。
ビッグデータ分析にIoTのトレンドも加わり、データの爆発的増大が以前にも増して加速している。特に、IoTは組織が扱うデータの種類と数のケタを変えてしまった。センサーなど膨大な数のデバイスからクラウドに大量のデータが送られるようになったため、送信データ量を減らす工夫をしないと立ちゆかなくなる。そこで、フィルタリングを実行する追加レイヤとして、エッジコンピューティングやフォグコンピューティングが注目を集めるようになった。

クラウド基盤サービスを提供するデータセンターの多くは、工場や店舗などIoTのデータを発生する場所からたいへん遠い場所にあるため、ネットワークの遅延が問題となる。遅延を減らすためにも、データ発生源のそばで処理をするエッジ/フォグコンピューティングが今後もっと必要になる(写真2)。OpenFogコンソーシアムからは、エッジ側でのCO2排出やサステナビリティの指標、KPIなどの定義について我々に支援してほしいと要請されている。
――あらゆるモノがつながることで危険も増える。IoT時代のセキュリティのあり方も問われていますね。
そのとおり。IoTの進展の過程で最も問題になるのがサイバーセキュリティだ。病院の温度センサーや自動運転車のコントロールがハッキングされたら、非常に恐ろしいことになるが、すでに起こっていることなのだ。セキュリティを強化するにはより多くのコンピューティングパワーが必要になり、大量の電力を調達しなくてはならない。エネルギー効率とサイバーセキュリティ強化という、2つの目標の両立という困難な課題に立ち向かっていかなくてはならない。
この文脈で言えば、ビットコインの存在は注目に値すると思う。ビットコインは分散型ネットワーク台帳技術のブロックチェーンで運用されているが、それ自体は非常にセキュアでハッキングなどのリスクが極小化されている。もちろん、実際に事件が起きたように、ビットコイン取引所のほうに問題があったら、全体としてセキュアではなくなってしまうが。
また、エネルギーの視点で見ると、ブロックチェーンの1つ1つのノードはかなりの発熱量だが広く分散している。エッジコンピューティングの1つの実装として考えても興味深い事例と言える。

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