[経営者をその気にさせる―デジタル時代の基幹システム活用戦略]
デジタル化で回すPDCAサイクル【第4回】
2017年11月24日(金)青柳 行浩(NTTデータ グローバルソリューションズ ビジネスイノベーション推進部 ビジネストランスフォーメーション室 室長)
第3回で企業におけるデジタル化は「可視化の範囲を飛躍的に拡張し、高精度・高頻度で情報を取得すること、高精度・高頻度で得られた情報を分析し、それに基づいた将来を先読み(予測)し、適正な打ち手を講ずることができるようにすること」と定義した。今回はデジタル化を経営管理にどのように生かしていくかを考えてみたい。
企業における経営管理はPDCAサイクルを円滑に回すことだといわれている。1950年に日科技連(日本科学技術連盟)がW.E.Deming博士を招聘して行った品質管理のセミナーから始まった考え方だ(このセミナーの内容は“Dr. Deming’s Lectures on Statistical Control of Quality”という書名でまとまっており、ネットでも読むことができる)。ここから始まった品質管理活動はQC活動、TQM(Total Quality Management)と呼ばれ、日本における品質改善活動に貢献した。
日科技連では、優れた品質管理活動に対して国内にとどまらず、海外を含めてデミング賞を授与している。過去にIT企業においてもQC活動が実施されてはいたが、やはり製造業が主でデミング賞の受賞者リストにIT企業はほとんど見かけない(日本IBMがデミング賞を受賞するためにノウハウの流出を恐れて脱退したためだという話も聞いたことはあるが…)。
プロセスアプローチを強調
PDCAサイクルに関しては、ほとんどの人がご存知かと思うが、簡単におさらいしておく。品質管理システムの規格であるISO9001が2015年に改訂され、品質管理だけでなく事業プロセス管理ツールとしてプロセスアプローチが強調されるようになった。ISO9001におおいてPDCAサイクルは次のように定義されている。(図1)

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