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[データマネジメント2022]

「データファブリック」への発展を見据えたレガシー移行とデータ活用基盤構築のツボ

2022年4月13日(水)

企業システムを統括するCIOやITリーダーは、「レガシーシステムの刷新」と「データ活用基盤構築」という2つのミッションを同時並行で進めていく必要がある。しかし時間やリソースの制約からロードマップの策定に苦慮しているのが現実だ。そこで注目すべきが、単なる物理的なデータ統合ではなく、データを効率的にビジネス価値に変えていく“データファブリック”である。3月10日に開催された「データマネジメント2022」のセッションに、NTTコム オンライン・マーケティング・ソリューションの嶋田貴夫氏が登壇し、データ仮想化を有効に活用しつつ、そのあるべき姿に近づいていくための方法を解説した。

レガシー移行とデータ統合を同時実現できるデータ仮想化

 DXを実現する上で欠かせないのが、「データ統合・活用」と「レガシーシステムの移行」だが、IT部門はこの2つのミッションの板挟みとなっている。

 移行対象のレガシーシステムは1つではなく複数の業務アプリケーションにまたがっており、それぞれで「Revise(リバイス)」「Rebuild(リビルド)」「Replace(リプレース)」「Rehost(リホスト)」「Refactor(リファクター)」など移行パターンが異なる上に、個別にデータ移行やテストを行わなわなければならない。CTOからはその進捗状況を頻繁に確認され、一方でCDOからは「データ統合はまだか」と催促されている状況だ。また当然のことながら、レガシーシステム移行に際して長時間にわたってデータサービスを止めるなど、業務に迷惑をかけることがあってはならない。

この課題に対して、NTTコム オンライン・マーケティング・ソリューションが提唱しているのが「データ仮想化」を用いた解決である。同社 エバンジェリストの嶋田貴夫氏によれば、データ仮想化とは、「データをソースシステムからコピーせずに、リアルタイムに接続して統合する仕組み」である。

NTTコム オンライン・マーケティング・ソリューション株式会社 エバンジェリスト 嶋田貴夫氏

 「さまざまなシステムの物理データベースから切り離された論理レイヤーを形成することで、品質改善分析や顧客分析、グローバル在庫状況確認などの業務アプリケーションに対して仮想的なデータベース、データウェアハウス、データマートを提供します。多彩なデータソースへ容易にアクセスできる、セキュリティを一元的に管理できる、データや項目をカタログ化できるなど、多くのメリットをもたらします」(嶋田氏)。

 このようにデータ仮想化は、データとアプリケーションの中継(疎結合化)を行い、複数のデータソースを仮想的に統合することで、既存業務への影響を最小限に抑えつつ、スムースなレガシー移行とデータ統合を実現するのである。

350種以上のデータ接続アダプターを備えたTIBCOのデータ仮想化基盤

 具体的にどうすればデータ仮想化を導入することができるのか。NTTコム オンライン・マーケティング・ソリューションが基盤となるソリューションとして提供しているのが、TIBCOの「TDV(TIBCO Data Virtualization)」である。

TDVによるデータ仮想化の導入

 TDVの特徴のひとつは、350種以上のデータ接続アダプターを標準で持っていることにある。これにより、たとえばSAPのメタデータを自動的に取得して一覧表示し、その中から必要なテーブルのみを読み込むといったことができる。「従来から運用してきたSAP ECCと、新たに導入したSAP S/4HANAの双方のデータを結合した仮想テーブルを作成することも可能です」と嶋田氏は語る。

 しかも操作も簡単だ。SAP ECCの仕入先マスターとSAP S/4HANAのパートナーテーブルをGUI上でマウスをドラッグして線でつなぎ、カスタマーIDに相当するカラム名を付けるだけで結合が完了する。

 そしてこの仮想テーブルは、例えば取引先一覧というビューにより業務アプリケーションに公開され、SQL(ODBC、JDBC、ADO.NET)や Webサービス(HTTP、REST、SOAP、JSON、OData)など、自由な形式でアクセスすることが可能だ。入力されたクエリーをTDVのオプティマイザーが最適化して各データソースに引き渡し、さらにそこで得られた結果を束ねて返すことで、業務アプリケーションはオンデマンドで最新のデータを利用することができるのである。

 「このようにデータ仮想化を使ったデータ統合は、一連の設定をすべてノンコーディング/ローコーディングで行い、その場で試すことができます。従来のデータウェアハウスとETLツールを使ったウォーターフォール開発では、ストレージの確保やジョブチェーン設計、テストデータの準備、システム間連携、コーディングなどの作業に数週間から数ヶ月の期間を要していました。これに対してデータ仮想化を使った方法では、わずか数時間から数日といったリードタイムで新しいデータセットを業務側に提供することが可能となります」と嶋田氏は強調する。

データ仮想化を使えば、数時間~数日で新しいデータセットを提供できる

仮想化統合の先に見据える「データファブリック」への発展

 ただし、データ統合がデータ仮想化のゴールではない。NTTコム オンライン・マーケティング・ソリューションが、その先のロードマップとして見据えているのが「データファブリック」への発展である。

 データ活用を全社的に広げていくためには、業務の担当者がブラウザベースのUIで必要なデータを自分自身で探し出せるデータカタログ、自由にビューを作成できる仕組みなど機能面の充実もさることながら、運用面も軽視することはできない。たとえばせっかくデータを入手しても、「中身は正しいのか」「カラムの意味が不明」「どの範囲まで利用してもよいのかわからない」といった理由で、十分に活用できていないケースはよくある。そこでデータスチュワードがマスターやメタデータを整備し、キュレーションを実施・浸透させるといった活動をしっかり行うことで、データに対する誤解を避け、全社で統一された運用が可能となる。

 そうしたデータスチュワードからデータ利用者、さらにはセキュリティやガバナンスの管理者まで包括したデータファブリックが求められているわけだ。

 「データ流通を1対1のライン(糸)からネットワーク(網)へと広げ、そして網の目さえ見えないファブリック(布)へと密度を高めていくことで、『データがあれば使える』を実現するのが私たちの考えるデータファブリックのコンセプトです」(嶋田氏)。

 データはどこにあるか、中身は何か、使ってよいのかといった「人の摩擦」。データは正確か、最新か、揃っているかといった「データの摩擦」。データ連携・変換、秘密保持、標準化といった「システムの摩擦」。そして定着化を阻害する「価値観の摩擦」。こうしたさまざまな摩擦(フリクション)を、TDVを用いたデータ仮想化によって解消することで、データファブリックを実現していくという。

データファブリックとは「データがあれば使える」というコンセプト

 具体的にまず行うべきは、仮想データ活用基盤を構築し、仮想データ統合を拡大していくことだ。続いて共通テーブルの管理・運用を行うデータ整備、データのキュレーションとセルフサービス化、メタデータ管理等を進めていく。

 「この大きなスケジュールの中で、たとえば○○利益率といったデータカタログをデータスチュワードだけが定義するのではなく、実際の現場の担当者から『このKPIを新たなカラム名で定義したい』といった声が上がったならば、それを組織として検討して承認し、全員で共有していきます。そういった仕組みまで取り揃えていくことで、データファブリックのあるべき姿を実現できると確信しています」と嶋田氏は語り、TIBCOのTDVと関連するデータマネジメント・ソリューション群がそうした仕組みづくりを強力に支援するとアピールして、講演を終えた。


●お問い合わせ先

NTTコム オンライン・マーケティング・ソリューション株式会社

〒141-0032
品川区大崎一丁目5番1号 大崎センタービル4F
URL:https://www.nttcoms.com/service/TIBCO/products/data-virtualization/
Email:info-tibco@nttcoms.com

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