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[データマネジメント2022]

DX担当者が知っておきたい、データドリブン経営を阻む4つの障壁と、それを乗り越える方法

2022年4月27日(水)

企業活動から得られるデータをもとにデジタル技術や人工知能の技術を活用して、客観性の高い意思決定を行うデータドリブン経営が注目されている。しかし、これを実現するにはデータのサイロ化、人材の教育、技術、組織間の連携、企業文化・風土を整理し、改革していく必要がある。日本電気株式会社(以下、NEC) の船越祐哉氏は、3月10日に開催された「データマネジメント2022」の講演において、企業がデータドリブン経営を実施するために直面する壁を乗り越えるための同社のアプローチについて事例を交えて解説を行った。

データドリブン経営ができる環境にある企業は31%

 船越氏は、分析ソフトウェアやデータウェアハウスアプライアンス製品中心とした分析プラットフォーム構築のエンジニアとして顧客のデータ活用の定着化を実践。約20年の現場経験と知見を活かし、データドリブン経営実現のためのロードマップをお客様と共に検討する企画支援サービスに従事している。

 データドリブン経営というのは、今までとはまったく違う経営指標で、会社に溜まっているデータから導き出して、それを経営に活かすことだと船越氏は定義した。近年、企業の活動がデジタル化され、あらゆるデータを収集できるようになっている。これをAI等で分析することによって、より合理的な経営判断を可能としている。船越氏は「データドリブン経営を実現できない企業は取り残されてしまうような時期に来ているというのが私の所感です」と述べた。

NEC デジタルビジネスオファリング事業部 シニアマネージャー 船越 祐哉氏

 NECが行ったデータ活用のステージに関する調査では、個人の努力で取り組んでいる「ステージ1」が20%、プロジェクト単位で取り組む「ステージ2」が26%、部門レベルで取り組む「ステージ3」が24%、部門を横断して取り組む「ステージ4」が19%、全体的にデータ活用プロセスが継続的に実施・改善されている「ステージ5」が12%という結果となった。データドリブン経営が成り立つ、ステージ4〜5の部門を横断したデータ活用ができている組織は31%にとどまっている。

NECが行ったデータ活用に関する調査。1,225社中の3割が全社でのデータ活用を実現
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データドリブン経営実現には、4つの障壁を乗り越える必要がある

 この結果から船越氏は、ステージ3から4に上がるまでに非常に大きな壁があり、そのおもな原因を以下の4つのカテゴリに分けて解説した。

  1. データマネジメント:データがサイロ化によって部門に閉じてしまい、情報収集ができず、よいインサイトが得られない状況
  2. 組織文化と人財:データを価値ある資産ととらえて全社で共有するマインドが醸成できておらず、人財に対して実践的な教育ができていないためにデータを活用できなくなっている状況
  3. 技術:既存システムを改修してデータ活用に取り組むが費用だけかさみ投資対効果が生み出しにくい状況
  4. 組織間連携:データ活用の目的が組織を超えて伝わらず要約されてしまい重要な細部や本質が抜け落ちている状況
データドリブン経営を妨げる4つの壁
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 たとえば、あるグループ企業の営業組織が部門ごとにデータを貯めているものの、全社での顧客マスタなどのデータを管理していない場合は、全体の状況を把握しにくい。別のグループ企業の生産部門においても部門ごとに製品情報が管理され、製品マスタもなく、共通化したデータ管理コードなどの仕様を持っていなければ全体の生産状況を一元管理しにくい。営業組織が生産組織に対して働きかけようとしても大きな壁があり、情報の共有、データ活用が難しい。

 このような状況では、社内の情報をとりまとめて最新の経営状況を知りたいという経営層の願いは叶えられない。業務部門でも部門を超えたデータを知ることができず、業務の価値を高めることが難しい。データを一元化し、AIによって分析するべきと求められる情報システム部門においても、どんなデータをどのように活用していいかの判断ができず、ただただデータを蓄積するだけ……といった状況に陥ってしまうのだ。

 こうした問題を抱える企業を改善例として、船越氏が携わったシチズン時計株式会社のデータ統合・活用の取り組みが紹介された。

データドリブン経営実現に向けた、データ統合・活用の取り組み:シチズン時計

 シチズン時計では販売系データのデータウェアハウスを構築していたが、部門・グループ会社ごとに管理されているデータも多い状況だった。そのため、データ分析者が使いたいデータの要求内容によっては、情報システム部門が上流システムなどから足りない情報を収集し、提供するという手間がかかっていた。 データ分析者はデータをすぐに集められず、情報システム部門には本来やるべき業務が妨げられていたのだ。

 そのような現状に対して部門/グループ会社を横断したデータを分析者自らが探して用意できることを目指したシチズン時計に対し、船越氏はデータ統合に向けた伴走型の支援を提案した。しかし、集めるデータは分析に適したものでなければならない。船越氏らはおよそ半年かけてディスカッションを繰り返しながら、本当に必要なデータがどのようなものであるか整理していった。

データの統合と、組織の意思統一を同時にサポートしていった
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 「お客様にどんなデータがあるかの現状把握からスタートしました。データウェアハウスに集めようとしているデータの一覧を全部見させていただき、必要なもの、不要なものを取捨選択しました。そこから、データモデルを確立し、さらにそのデータモデルを実現するために必要なアーキテクチャ、それからそのモデルを使ったユースケースを一緒に考えていきました。検討のなかで経営課題が見つかり、それをどう乗り越えるかのルールブックを策定しました」(船越氏)。

 シチズン時計がおこなった取り組みは、先にあげたデータドリブン経営を阻む4つの原因にあてはめると、「データマネジメント」は、データウェアハウスに取り込むデータの取捨選択とルールブックの策定によって成し遂げた。「組織文化と人財」については、ルールブックやデータカタログの各部門への配布によってデータ活用文化を浸透させていった。「技術」については、クラウド環境を使ってスモールスタートしていくことで乗り越え、「組織間連携」においてもルールブックを策定していく過程において下地が醸成できたという。

全社を横断する「横軸の組織」と「データ活用基盤」を整備し、継続して取り組むべき

 船越氏は、データドリブン経営を実現するには、経営部門、業務部門、情報システム部門などさまざまな部門の意見をとりまとめ、全社視点で課題を把握し、ゴールを定めて活動する、「横軸の組織」の存在が鍵となると語った。トップダウンで組織を作る場合もあれば、ある部門から始めたデータ活用の取り組みを全社に展開していく場合もあるが、専任でデータを管理していくことが重要であるとした。

 横軸の組織に加えて、全社で利用する「データ活用基盤」も重要だ。部門ごとにシステムを作ってしまうと連携ができないため、全社での活用を念頭に置いた基盤を構築したい。これにはトップダウンで大規模に始める場合もあれば、最低限の機能としてスモールスタートして成功モデルを作り、拡張していく方法もある。

全社視点で課題を把握し、ゴールを定めてプロジェクトを推進する組織と基盤が必要
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 横軸の組織としては、データマネジメントオフィス(DMO)を定義していくことがポイントだと船越氏は付け加えた。データ活用支援をミッションとした専門組織のもと「全社」視点で、「長期目標」を見据え、データの品質管理や、場所、アーキテクチャモデルなどの基盤をこの組織が作っていく。その上で、データのガバナンス、オーナーの支援、セキュリティ保護など、業務へのデータ活用の定着化と浸透を支えていく。こうした活動によって、組織の壁を乗り越え、データドリブン経営の足固めをしていくのだ。

 一気に高度なデータドリブン経営に移行することは難しい。地道に成功を積み上げていくマインドシフトも必要だ。「調査」→「企画」→「検証」→「導入」→「運用」というループを循環していくことで、よりよいデータ連携の体制が醸成されていくことを忘れてはいけない。

 NECでは、数多くのデータ活用基盤構築を手掛ける一方で、DX戦略コンサルタント、データサイエンティストのメンバーも強化。船越氏は、コンサルティングから、構築、運用、定着化まで、データ活用のスペシャリストが一丸となって顧客の「データマネジメント」「組織文化と人財」「技術」「組織間連携」の壁を打ち砕き、データドリブン経営の実現をサポートできるとアピールした。


●お問い合わせ先

NEC
URL: https://jpn.nec.com/data/datadriven/index.html

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