[事例ニュース]
気象庁、台風や集中豪雨などを予測する新スーパーコンピュータが2024年3月に稼働
2024年2月21日(水)日川 佳三(IT Leaders編集部)
気象庁は2024年2月21日、台風や集中豪雨などを予測するスーパーコンピュータを刷新し、新システムを同年3月5日に運用開始すると発表した。新システムは富士通の「PRIMERGY CX400 M7」をベースに構築し、更新前の約2倍の計算能力を持つ。2023年3月に導入した「線状降水帯予測スーパーコンピュータ」と合わせると更新前の約4倍の計算能力になる。
気象庁は、台風や集中豪雨などを予測するスーパーコンピュータを刷新し、2024年3月5日の稼働開始を予定している。
富士通のハイエンドPCサーバー「PRIMERGY CX400 M7」をベースに構築したシステムで、更新前の約2倍の計算能力を持つ。2023年3月に導入した「線状降水帯予測スーパーコンピュータ」と合わせると、更新前の約4倍の計算能力になるという(写真1、関連記事:気象庁、線状降水帯の発生を予測するスパコンが2023年3月に稼働、「富岳」の技術を活用)。
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新システムの運用開始に合わせ、より細かいメッシュの予測モデルから未来の状況を予測できるようにする。現行のシステムでは、線状降水帯による大雨予測に水平格子間隔5kmの「メソモデル」を用い、10時間先まで予測している。新システムでは府県単位でのアナウンスを開始するのに伴い、水平格子間隔2kmの「局地モデル」を用いて18時間先まで予測するという。
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図1は、2023年7月10日6時に発生した線状降水帯の半日前からの雨量予測を、メソモデルと局地モデルとで比較した結果である。メソモデルでは、線状降水帯がもたらした雨量と比較して過小な降水量を予測している。一方、新システムで用いる局地モデルでは、発生した線状降水帯に近い強さの降水を予測している。「メソモデルよりも解像度の高い局地モデルでは、線状降水帯がもたらす強い降水を予測できる事例が増えることを確認している」(気象庁)。
また、新システムでは、一部にクラウド技術を導入することで、気象庁が保有するデータを民間事業者や研究機関が活用できるようにする。「民間事業者が実施する花粉飛散予測の精度を高めるために必要なデータや、これまで提供できていなかった大容量のデータを新たに提供できるようになる」(同庁)としている。