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経済学の手法で会議室不足/不満を解消─イトーキ「Reserve Any」のユニークな仕組み

マーケットデザインに基づく「利用価値最大化アルゴリズム」を実装

2024年11月22日(金)神 幸葉(IT Leaders編集部)

イトーキ(本社:東京都中央区)は2024年11月20日、会議室予約システム「Reserve Any(リザーブエニー)」を2025年2月を提供開始すると発表した。アルゴリズム開発パートナーの東京大学エコノミックコンサルティング(本社:東京都文京区)と開発した「リソース利用価値最大化アルゴリズム」を実装し、会議室の非効率な利用が最小限になるよう全体最適化を図る。オフィスワーカーの行動変容を促して、組織全体の生産性向上を図れるとしている。

「会議室不足」はコロナ禍を経て複雑化

 オフィスにおける慢性的な会議室不足と、従業員の不満・ストレスは、多くの企業が抱える課題である。総務をはじめとする管理部門が運用ルールの見直しや会議室の増設などで対策を行うも、コロナ禍明けの出社急増のペースに追いつかないといった状況をよく聞く。

 イトーキの商品開発本部 ソリューション開発統括部でビジネス開発部 部長を努める藤田浩彰氏(写真1)は、「会議室不足は今も昔もオフィスにおける悩みの種。業務の流れを阻害するだけでなく、従業員のストレス源になっているにもかかわらず、解決の糸口がこれまで見えてこなかった」と話す。

写真1:イトーキ 商品開発本部 ソリューション開発統括部 ビジネス開発部 部長の藤田浩彰氏

 同社の調査からは、コロナ禍を経てフリーアドレスやリモートワークによるハイブリッド会議が定着したことで声や音の問題が顕在化し、Web会議対応、集中できる空間といった新しいワークプレイスが望まれるなど、今のオフィス事情がうかがえる(図1)。

図1:コロナ禍を経て新しいワークプレイスが求められている(出典:イトーキ)
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 加えてイトーキは、同社のオフィスデータ分析サービス「Data Trekking」からも、会議室の利用実態の把握を試みている。藤田氏は、そこから見えてくる非効率化の要因として、「実際の人数より大きな会議室」「特定の従業員やチームによる独り占め」「他の予約が入らないスキマ時間」「人気の会議室や時間帯の集中利用」などを挙げている。

ポイント制の会議室予約システム「Reserve Any」

 イトーキはこうして、オフィスの利用状況をつぶさに分析し、それを基にした“働き方”ベースのオフィスDX「Office3.0」に注力している(関連記事イトーキ、ハイブリッドワーク時代のワークプレイス 「オフィスDX」を披露)。

 そして、この取り組みの一環で開発されたのが、限りある会議室を効率的に活用するための会議室予約システム「Reserve Any(リザーブ エニー)」だ。

 Reserve Anyは「会議室のポイント予約制」というユニークな仕組みを採用してい。会議室のオーバースペック利用の解消をはじめ、スキマ時間の減少、独り占め防止、利用の分散を実現するという(図2)。

図2:Reserve Anyの全体像(出典:イトーキ)
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 会議室を予約する社員は、自身の保有ポイントをやりくりして会議室を予約する。予約状況に応じて「会議室の価格(利用ポイント)」が日々変動し、需要の多い時間帯や人気の会議室は利用ポイントが高く設定されている(図3)。

 予約の方法は、利用人数など希望条件を入力するだけで最適な場所が割り当てられる「おまかせ予約」と、会議の性質・内容上指定したい会議室があるなどの「こだわり予約」の2つがある。おまかせ予約では、アルゴリズムが全体として最も効率的な割り当てになるよう、会議の直前までシミュレーションを行うため、会議室の確定は会議の前日になるという。

図3:会議室の利用ポイント(出典:イトーキ)
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 Reserve Anyの開発を主導するイトーキ 商品開発本部 ソリューション開発統括部 ビジネス開発部 開発1課の浜中麻衣氏(写真2)は、「需要が少ない時間帯や会議室の選択を予約者に促し、会議室の価格を意識することで全体最適に望ましいふるまいが誘発され、必要度の高い予約者の希望する会議室の利用が可能になる」と説明した。

写真2:イトーキ 商品開発本部 ソリューション開発統括部 ビジネス開発部 開発1課の浜中麻衣氏

 Reserve Anyは、一般的な会議室のみならず個室ブースやフリーアドレス席などさまざまなスペースの予約管理にも対応する。ホテリング(座席予約)状況を確認できる電子ラベル「Hoteling Label」と合わせて利用することで、システムのみならずオフィス空間での高い利便性を実現する。

●Next:Reserve Anyのユニークな仕組みを実現したアルゴリズムとは?

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