建設会社の安藤ハザマ(本社:東京都港区)は2024年11月25日、AIによる配筋検査システムを施工中の建築現場における検査・記録に適用し、現場管理業務の生産性が向上することを確認したと発表した。AI配筋検査システムにはプライム ライフ テクノロジーズの「CONSAIT」を利用している。
安藤ハザマは現在、和菓子会社のたねや(本社: 滋賀県近江八幡市)が滋賀県大津市の湖岸なぎさ公園(市民プラザ)に新しくオープンする新店舗「LAGO(ラーゴ)大津」の工事を行っている。今回、同工事現場の配筋の検査・記録にAIを適用し、生産性が向上することを確認した。AI配筋検査システムにはプライム ライフ テクノロジーズの「CONSAIT(コンサイト)」を利用している。今後も鉄筋コンクリート造(RC造)の建築現場を中心に適用を拡大する(写真1)。
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検査は、RC造2階建ての建物に対し、専用の3眼ステレオカメラを搭載したタブレット端末を使い、柱、梁、壁およびスラブ配筋を立体的に検知し、鉄筋径・本数・ピッチを自動計測、帳票に記録した(写真2)。ステレオカメラ方式による計測が難しい定着長さや重ね継手長さなどは、電子マーカーと電子黒板を使用し、配筋写真を撮影した。また、これらの計測結果・配筋写真は、目視検査結果(かぶり厚さなど)と一緒に平面図に関連付けて一元管理した。
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同システムにより、生産性が向上し、効率良く配筋写真の撮影・検査を行えたとしている。従来手法と比べると、自動計測、電子マーカーの使用および帳票の自動作成により、現場管理業務の時間が約60%短くなった。また、配筋写真用黒板の事前準備や帳票整理をアウトソースした場合と比べても、現場での検査・記録に要する時間が約40%短くなった(図1)。
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検査記録を共有するメリットもあった。作業所内のメンバー間で配筋写真や検査の進捗を共有したことで、検査担当者だけでなく、作業所長や作業所メンバーも状況を確認できるようになり、作業所内のコミュニケーションが円滑になった。また、写真や検査記録は、平面図上に関連付けてクラウドで一元管理するため、各自のPCやタブレット端末から複数の目でタイムリーに確認でき、品質管理や工程管理にも役立った。
人材育成やヒューマンエラー防止にもつながった。撮影部位、検査箇所、検査項目などをPCやタブレット端末上で視覚的に確認できることから、若手職員の鉄筋工事に対する理解が深まった。検査担当者とシステムによるダブルチェックを行うことで、見落としなどのヒューマンエラーの防止にも役立った。