矢野経済研究所は2025年9月22日、国内ERPパッケージライセンス市場の調査結果を発表した。2024年の市場規模を前年比12.1%増の1684億4000万円と推計、業務をパッケージに合わせるFit to Standardポリシーが浸透する中でSaaSが拡大基調にある。2025年には、SaaSがERP市場全体に占める割合が25%程度に達すると予測している。
矢野経済研究所は、2025年5月~8月に実施した、国内ERPパッケージライセンス市場調査の結果を発表した。2024年の市場規模(エンドユーザー渡し価格ベース)を前年比12.1%増の1684億4000万円と推計している(図1)。

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市場の成長要因として同社は、老朽化したシステムのリプレース、保守契約終了を迎えるシステムからの更新/乗り換えなどを挙げる。これらの移行にあたって、システムの移行先にクラウドを選ぶ動きが大きく進んだという。
2025年もユーザー企業のIT投資意欲は旺盛で、市場規模は前年比11.7%増の1881億9000万円を予測する。矢野経済研究所によると、ERPの導入・構築において、SaaS(クラウドERP)が伸長を続けているという。「業務をパッケージの標準機能に合わせるFit to Standardのポリシーの下、IaaS/PaaSをインフラにしたERPよりも、SaaSを利用するユーザーが拡大基調にある」(同社)
ERPパッケージ市場におけるクラウド製品・サービス(IaaS/PaaS/SaaS)の市場規模は、2024年が1106億1500万円で、市場全体の65%を占めている(前年から約5.5ポイント増)。矢野経済研究所は、今後もERP市場でのクラウドシフトが継続し、2026年には70%を超えると予測している。
同社によると、生成AIなど最新技術を利用する目的で、IaaS/PaaSを使わずにSaaSだけを導入するユーザー企業が多いという。2024年のERPパッケージ市場においてSaaSの市場規模は、前年比36.2%増の371億8600万円と推計する。
「最近は、SaaSでありながら個別カスタマイズや任意のタイミングでのアップデートが可能な製品など、柔軟性を持ったSaaSのERP製品が登場している」(同社)。こうした市場環境の中で、SaaS製品がERPパッケージ市場全体に占める割合は、2025年には25%程度にまで拡大する見通しという。