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[製品サーベイ]

いざというときに備えるメールアーカイブ製品─メールの取得方法や検索性能は要チェック

製品サーベイ 第4回

2009年2月4日(水)IT Leaders編集部

日々、大量にやりとりされる電子メール。そのすべてを管理、保存するアーカイブ製品やサービスが増えている。単なるバックアップではない。好ましくないメール利用の抑止効果があるほか、取引先との訴訟など何らかのトラブルの際、電子メールは有力な証拠になり得る。リスクマネジメント上、電子メールのアーカイブは必須になりつつあるからだ。

 今回調べたメールアーカイブ製品は、ASPまで含めると31種(表1)。添付ファイルを含めて保存する機能や、膨大になるストレージ容量を少しでも削減するための工夫、スパムメールなどを排除する機能、さらにインターネットメールをアーカイブする機能の有無などに違いがある。自社に最適な製品を選ぶのは決して簡単ではない。以下、選択のポイントを紹介する。

表1 主要メールアーカイブ製品一覧 画像をクリックでPDFをダウンロードできます pdf

ポイント(1) メールの取得方法

 電子メールを取得し、アーカイブする方式には、ゲートウェイ型、エージェント型、パケットキャプチャ型など複数ある。製品がどの方式なのかによって、アーカイブ可能なメールに違いがあるので注意が必要だ。

 「ゲートウェイ型」は、メールサーバーと外部ネットワークとの間にメールアーカイブシステムを設置。通過するメールを保存する。メールサーバーの種類に関係なく設置できる、メールサーバーへの負荷が軽い、などがメリットだ。しかしメールアーカイブシステムに障害が発生すると、メールの往来自体に影響を与えてしまう。基本的に外部ネットワークを経由しない社内のメールを保存できない問題もある。

 「エージェント型」は、メールサーバーにメールアーカイブシステムを接続。メールサーバーを通過するメールをコピーして保存する。メールアーカイブシステムに障害が発生してもメールの往来に干渉しないし、社内メールも保存できる。デメリットは、メールサーバーにエージェントをインストールする必要があるため、利用可能なメールサーバーが限定されることだ。メールサーバーへの負荷も高くなる。

 「パケットキャプチャ型」は、社内ネットワーク上にスイッチングハブを設置。パケットすべてをコピーして保存する。「ゲートウェイ型」、「エージェント型」と大きく異なる点は、メールに限らずネットワークを行き交うすべてのデータを保存することだ。メールだけでなく、Webサイトへのアクセス履歴を調べたり、ネットワークにトラブルが起きた際の原因を調査したりできる。Gmailなどのインターネットメールを保存できる製品もある。デメリットは、製品によってはパケットの取りこぼしが起こり得ること。パケット取得には相応のストレージ容量が必要となり、どのパケットを保存するのかの設定も必要である。

 パケットキャプチャ型製品の1つである「Solera DS」シリーズ(ソレラネットワークスジャパンが販売)は、独自のアルゴリズムによって最大10Gbpsまでのパケットを保存する。ネットワーク環境が100Mbpsでも、上り・下りの両回線、複数のサーバー設置によってパケット量も増加する。これらのパケットを取りこぼしなく取得できる。同社の皆川文哉社長は「100%のパケット取得こそが、完全な証拠となりうる。パケットの取りこぼしがあっては情報漏えい対策やコンプライアンス強化として十分ではない」と強調する。

ポイント(2) 検索機能

 メールアーカイブ製品の役割の1つは、何らかの問題が発生したときに、保存したメールの中から特定のメールを探し出せること。そのためには検索機能が充実していなければならない。すべての製品が検索機能を備えているが、効率的に検索できるか、使いやすい操作画面であるかを重視したい。

 特にカタカナの全角・半角文字の混在や新旧文字の違いなどがある日本語の場合、検索条件と完全に同一の文章を検索するのは簡単ではない。文字間のスペース(空き)や改行に対しても同様だ。その中でジップインフォブリッジの「SAVVY/MailRetriever」は、「AND」や「OR」、「SUB(引き算)」を使って検索結果を絞り込める。思いつく限りの検索条件でメールを検索。そこから、さらに絞り込む際に有効だ。検索条件を保存して次回の検索時に利用できる機能もある。

 キヤノンITソリューションズの「GUARDIANWALL」は、検索をバックグラウンドで実行し、結果をメールで通知できる。一度実行した検索は履歴が残り、再度検索する必要がないという特徴がある。三菱電機インフォメーションテクノロジーの「LogAuditor Mail Saver」は、アルファベットの大文字・小文字、カタカナ・ひらがなの拗音・促音、長音文字とハイフンを同一視して漏れのない検索が可能だ。

 送信者や日時を記録したメールヘッダ情報を利用して検索するメールアーカイブ製品の場合、BCCによる検索ができないものがある。BCCに含まれるメールアドレス、送信者、受信者を検索条件に利用できるかどうかも注意したい。

ポイント(3) 添付ファイル検索

 添付ファイルを検索できるかどうかも、選択基準の1つになり得る。単なる添付ファイルではなく、ZIP形式などの圧縮ファイル内まで検索できるかどうかもチェックすべきだ。ZIP形式のほか、LZH形式ファイルも対象となるのか、パスワード付きのZIP形式ファイル内も検索できるかを確認したい。圧縮ファイル内に存在する圧縮ファイルについても検索対象となるのかもチェックしておくべきだろう。

 ドキュメントファイルは検索対象となるバージョンも気をつけたい。Microsoft Officeなら「2007」を検索対象としているかどうか、一太郎や富士通OASYSなどの日本独自のファイル形式を検索できるのかなどだ。JISやUTF-8など、どの文字コードが検索対象となるのかも確認したい。

ポイント(4) ストレージ容量節約

 メールアーカイブでは長期間のメール保存が求められるため、保存用のストレージ容量が大きくなりがちだ。加えて、多くの製品は検索を高速化するためにメールや添付ファイルをインデックス化する。インデックスファイルと元メールを合わせて保存するため、製品によってはファイルサイズが元データの数倍になるものもある。

 これに対して保存するメールを圧縮してストレージ容量を節約できる製品も少なくない。シマンテックの「Symantec Enterprise Vault」はその1つ。保存メールを独自形式で圧縮し、ストレージ容量を節約できる。一度に複数ユーザーへ送信した同じ内容のメールをすべて保存せずに1つだけ保存するシングルインスタンス機能も搭載。無駄なメール保存を削減する。

ポイント(5) アンチスパム機能

 外部から企業に送られてくるメールの80%は、スパムメールと言われる(シマンテックの調査)。だが、メールアーカイブ製品のほとんどはアンチウイルス・スパム機能を標準装備していない。メールサーバーとともに、アンチウイルス・スパム製品を導入している企業にとっては無駄になるからだが、そうでない場合、何らかのアンチウイルス・スパム関連製品を使うべきだろう。

 メールアーカイブ製品ベンダーの多くはオプションでその機能を提供しているほか、ASPサービスベンダーの多くも、アンチウイルス・スパム機能をオプションで提供している。

アーカイブソフトとストレージを組み合わせた製品

 今回は調査対象にしなかったが、メールアーカイブソフトとストレージを組み合わせたソリューション製品も多い。セットなので導入から稼働までの期間が短いのが特徴。大半の製品はデータの書き換えや消去ができないWORM(Write Once Read Many)型ストレージを採用する。価格は高めで日立製品の場合、1061万8860円からとなっている。

提供会社 製品名
EMCジャパン
サイバーソリューションズ
電子メール・アーカイブ・ソリューション
NEC メールアーカイブソリューション
デル Exchangeメールアーカイブソリューションパッケージ
日本IBM Lotus Dominoアーカイブ・ソリューション
日本HP HP Integrated Archive Platfrorm
日立製作所 Hitachi Content Archive Platform
日立ソフトウェアエンジニアリング メールソリューション
富士通 メール・アーカイブ・ソリューション
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