ビジネスの場でコミュニケーションの一般的な手段となった電子メール。中には契約情報や顧客情報といった、重要な情報を含んでいることも少なくない。だが、ほとんどの企業では、電子メールをビジネスの重要な記録として扱っていないようだ。企業のコンテンツ管理に関する米国の非営利組織AIIM(Association for Information and Image Management)が、会員1109企業を対象とした調査結果からは、ほとんどの企業でメール情報の管理に関する枠組み作りができていないことが明らかになった。メールをいつまで保存するのか、どういった条件で削除するかといった、基本的なルールさえ決めていない企業が多いのだ。
メール管理ルールがない企業が大半
メールは、今やビジネスに必須のツールのはずだ。だが先述の調査によると、メール情報の共有や検索といった、メール管理の明確なポリシーを持ち合わせていない企業は50%以上もある。メールの保存期間や、どんな内容のメールを保存するかといったルールを明確に定めていないと回答した企業は、実に84%に上る。
大企業では毎日、数百万通におよぶメールが飛び交っている。そのほとんどは長期間保存する必要性のないものだ。だが、企業によっては支払い書や契約書にあたるメールが日々発生しており、法律上非常に重要なものを含んでいることも少なくない。
米国では電子情報の開示が義務化
前述の調査に回答した企業の約3分の1は、メールを法的な文書として管理するための指針を持っていない。メールの保存にバックアップ用のテープを利用しており、テープを何週間もかけて調べなければ法律上必要なメールを探し出せない、という企業も約40%ある。
そうしたなか、電子情報の開示に関する法律「eディスカバリー」が法務部やリスクマネジメントの専門家の懸案事項に上りつつある。これは2006年12月に改定された米連邦民事訴訟規則で規定しているもので、電子的に蓄積している情報の中から必要なものを裁判の証拠認定の期間中に提出することを求めている。
会員登録(無料)が必要です
- コスト削減と効率追求だけが使命ではない─収益向上の道を切り拓くCIO(2010/08/30)
- リーダーの意識調査から見るITとビジネスのギャップ(2010/06/02)
- 最新技術の導入は慎重かつ大胆に、新潮流に挑むベテランCIOの姿(2010/05/06)
- 先進技術に対する関心と現実、急浮上するデスクトップ仮想化(2010/03/03)
- グーグルCIOが語る企業ITの未来像─発想転換なくして新しい価値は生まれない(2010/01/29)