国際連合環境計画(UNEP)は2月22日(現地時間)、「電子ごみ」(E-Waste:携帯電話やコンピュータ、家電など電気電子機器の廃棄物)に関する調査リポートを発表しました。リポートによれば、全世界の電子ごみは現在、年間4,000万トンのペースで増えており、今後は中国やインド、アフリカ、南米などの国・地域での電子ごみの急増によって、地球環境や人々の健康への影響がさらに拡大していくとのことです。
今回のリポートの作成にあたってUNEPは、アジア、アフリカ、南米の11カ国における電子ごみの実態を調査・分析しています。リポートには、IT機器の廃棄物については次の10年で、中国と南アフリカで4倍、インドで5倍に増加するとの予想が示されています(いずれも2007年実績との比較)。加えて、中国をはじめとするいくつかの国での電子ごみの不適切な処理の実態を挙げ(リサイクル業者が機器に含まれる貴金属を取り出そうとして電子ごみを焼却し、その際に発生する有害物質が社会問題となっている)、不適切な行為が地球環境を破壊し、大多数の人々の健康を毀損すると警告しています。
不適切な廃棄処理の問題については改善を強く求めたいのですが、電気電子機器が私たちの生活の中で果たしている役割を考えると、今、世界で起こっている電子ごみの爆発的な増加という全体の大きな流れにはどうにも抗えません。企業向けのIT機器に関して言えば、例えば、昨今のIT部門におけるテーマの1つになっているサーバ統合・集約の動きによって、用済みとなって廃棄される古いサーバがこれからの数年間に大量発生するといったような影響が出てくるかもしれません。
サーバやデスクトップPCよりも、予想を超えて電子ごみ問題に影響を与えそうなのが、携帯電話をはじめ、携帯ゲーム機、デジタルカメラ、ネットブックなどのパーソナル機器のさらなる増加です。UNEPのリポートには、全世界での携帯電話の販売台数が、2006年には8億9600万だったのが、2007年には10億台を超えたことが挙げられています。
すでに私たちは、携帯電話やデジカメ、携帯ゲーム機、携帯音楽プレーヤー、電子手帳といったさまざまなパーソナル機器をカバンやポケットに入れて持ち歩いています(携帯電話や携帯ゲーム機は、2台持ち、3台持ちなんていう人も少なくないことでしょう)。昨今のパーソナル機器の普及具合を見ていると、今後、より広範なユーザー層において普及していくことに加え、ユーザー1人が複数台所有する動きもさらに加速することが予想されます。
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