海外では、景気回復と同時にIT投資を積極化しようと計画する企業の声が多く聞かれるようになってきたが、日本はまだ様子見という姿勢が目立つようだ。こうした中でベンダーは、ユーザー企業から選ばれるための努力を惜しんではならない。景気低迷を機にユーザー企業は、ITプロジェクトやベンダーを見直す動きが活発化しているからだ。
世界的な経済不況により、多くの企業は投資を抑制し、コスト削減に取り組んでいる。その一方で、景気が回復したときに備え、新たなITサービスへの投資の準備も進めなければならない。経営者は景気がいつ回復するのか、どのタイミングで投資に転じればよいのか、その見極めを迫られている。
こうした状況を踏まえてガートナーは、景気の変化がITサービスの利用にどのような影響を与えたのかを調査。2009年11〜12月に、日本やアメリカ、イギリス、インドなどの企業のIT部門担当者(合計1073人)から回答を得た(図)。
投資に消極的な日本企業
厳しいコスト削減要求に起因
景気が回復したとき、新たに外部のITサービスを利用すると回答した企業は85%。そのうちの79%が2010年内にはITへの投資額を増やすと予測する。全体の平均投資額は7.13%増える見込みで、インド企業に至っては17.4%も増加するという結果だった。これまで予算を抑止していた部門を中心に、新たなITサービスの利用を想定した、導入支援やコンサルティングに予算を割り当てるという。これらの企業では2009年後半から景気は上向きと実感しており、2010年中に回復するという楽観的な意見が大勢を占める。
これに対して日本企業は、景気の先行きは不透明という認識が強い。IT投資は2011年からと考える企業が多く、2010年の投資額は1.5%減少するという結果だった。これはIT部門へのコスト削減要求が厳しい点が理由の1つに考えられる。IT部門は予算削減目標をいかに達成するかという視点でITプロジェクトを計画する。そのため、新たなITサービスへの投資といえども積極的に予算を割り当てにくいのだ。
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