仕事が煮詰まったなら、あれこれ悩まず音楽を聴くなどしてリフレッシュするに限ります。好みのアゲアゲチューンに浸るのもいいのですが、時にはラジオも新鮮。スタジオトークや番組中にかかる曲に耳を傾けながら気分転換を図るのも一考です。
「ラリー・レヴァンの狂気的DJプレイに陶酔したい」「カザルスの無伴奏チェロ組曲でゴフリラーの空気感に触れたい」「りんご追分のスカタライツによるキラーカヴァーにしびれたい」──。
頭の中がうまく整理できずに仕事が煮詰まった時、ミスをやらかして気分が落ち込んだ時、1つの作業に区切りがついて一息入れたい時…。タイミングよく気分転換すれば、メリハリがついて生産性も高まるはず。一服の清涼剤として、時には音楽を聴くことも有効に働くのではないでしょうか。
職場で音楽を聴くといっても、様々な方法があります。代表的なのは、いつも持ち歩いているiPodなどの携帯プレーヤーを取り出したり、PCでiTunesやWindows Media Playerを起動するといった方法でしょうか。私もよくやりますが、時に飽き足らなくなることがあります。というのも、それらで聴く曲のほとんどは自分が普段から積極的に取り込んできたものであり、良い意味で「心地よい」のですが、一方では「意外性がない」のです。
冒頭のように明確な目的があればその曲を再生すればよいのですが、ぼーっとしながら聴くともなしに耳から音を受け入れ、ふと気になるメロディに神経が呼び起こされる。そんなひとときを求めることもあります。
言い換えれば、“他薦”の曲で心機一転したいということ。で、試みてみたのが、知人とのiPodの交換です。その人がヘビーローテーションしている曲を拾い出して聴いてみると楽しいのなんの。自分のまったく知らない曲や、そもそも積極的には聴かないであろうジャンルの曲のオンパレードで、それはそれは興味深いものでした。ただし、その人の嗜好を慮ったりしていると夢中になりすぎて、なかなか仕事モードに戻れないという問題も…。

もっと気軽に聞き流しながら、時折、「おっ」と思える曲に巡り会うような方法はないものだろうか。まるでラジオを聴くみたいに…と考えた時点で、「そうかラジオだ!」と閃いたのでありました。
それまでもインターネットラジオに興味を持って色々調べたこともあったのですが、お気に入りの局がいまひとつ見つからずじまいに。そこで今回は、週末のドライブシーンのように、公共のFM/AM放送をオフィスでBGM的に聴けるようにしようと思い立ったのです。
そんなの小型ラジオを机に置いてイヤホンで聴けばいいじゃん?というツッコミはなし。あえてパソコンでラジオを聴くというこだわり(どんなんだ?)で臨むのであります。で、いろいろと物色した結果、目にとまったのが米Griffin Technologyの「radio SHARK 2」という製品。国内でもいくつかのネットショップで販売されています。
米国のメーカーサイトを見ると、元々はMacintosh向けにリリースされたようですが、現行製品はPC(Windows)にも対応と書いてある。でも何故か、国内の販売サイトでは「Mac用」との表記。ネット上を調べると、Windows環境でも使えているという情報がいくつかあったので、ともかく入手してみました。

その名の通り、サメの背びれのような形をしたこの製品の実体は、USB接続タイプのFM/AMチューナーユニットです。
まず付属のCD-ROMに収録されている専用ソフトをインストールして、radio SHARK 2をUSBケーブルで接続。続いて、ソフトの設定でFM Tuning rangeを「Japanese」に、AM Tuning incrementを「9kHz」に、といった日本向けの設定を施して聴きたい局の周波数をセットします。いざイヤホンを耳にしてみると…聴こえてきました。パーソナリティの無邪気なトークに続いて、坂本冬美の「また君に恋してる」! ひとまず、きちんと動作することが確認できて一安心です。ちなみに試したPCの環境はWindows XP ProfessionalのSP3。Windows7については、近いうちに接続してみる予定です。
ろくにマニュアルも見ずに操作してみましたが、これは単なるラジオチューナーではなく、PCならではと思わせる機能を備えることが分かってきました。ユニークなのが「タイムシフト」機能。音楽番組を聴いていて「アーティスト名を聴き損なった!」といった場合、その場で番組をさかのぼって再生し直すことができるのです(どれぐらいさかのぼれるかはバッファサイズの設定による)。
そのほか、番組をワンボタンで録音したり、日時や放送局を指定しての録音予約などもお手の物。iTunesと連携させて録音した番組をiPod/iPhoneに移して持ち歩くといった使い方もできるようです。

さらに色々調べてみると、radio SHARKをコントロールするためのサードパーティ製ソフトがいくつかあることも判明。代表格はStarStone Softwareの「Radioサーバー」(500円)です。radio SHARKをネット経由でコントロールして聴いたり、予約録音したりできるとのこと。面白げなので早速導入してみたものの、目下、締切真っ只中で十分に使い込む時間的余裕がありません。また機会を見つけて報告できたらと考えています。
さて今回は、ちょっとブレークを入れるために音楽(ラジオ)を聴いてみようと思って始めた取り組みでしたが、実際に環境を整えてみると、仕事をしながらラジオを聞き続けてもまったく気にならない。というか、リズムがよいのか思った以上に作業がはかどるかも!? この原稿も、久しぶりに毒蝮三太夫さんの毒舌を聴きながら30分強で決着したのでありました。
- 「もの忘れ常習者の神アプリ」の巻:第29回(2011/02/09)
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