日立ソフトは2010年6月3日、製造業の海外進出を支援するため、日本と海外との間での3D CADデータなどの大容量データの受け渡しに対応したグローバル高速転送サービス「活文(カツブン)デジ活ワイド」を、2010年10月1日より提供開始すると発表した。
発表によれば現在、製造業の海外進出では、生産拠点から設計拠点へのシフトが行われ、3D CADデータなどの大容量データを受け渡しする機会が増えているが、海外拠点の通信インフラがあまり整備されていない場合は、「データ送信に膨大な時間がかかる」、「大容量データを送る手段がない」などの課題が発生している。
現在広く使用されているインターネットプロトコルでの通信性能は、利用できる帯域と通信相手とのパケット往復時間(RTT:Round Trip Time)によって性能が頭打ちとなっており、RTTが100ms以上となる海外との大容量データの送受信では、通信精度の向上が望めないという。専用線などの増強も考えられるが、安易な増強はそのまま経営の圧迫につながる可能性もある。
大容量データの受け渡しに対応した「活文 デジ活ワイド」サービスを利用することで、インターネット回線を利用できる環境であれば、通信インフラが遅れている海外拠点へも大容量データを効率的に伝送することが可能。SaaS形式での提供となるため、初期投資やサーバーの構築なしに、サービスをすぐに利用することができる。
同サービスの特徴は以下のとおり。
1.搭載された多重伝送技術(1つの伝送路で同時に複数の情報を送る)によるデータの高速な受け渡し
- 多重接続を制御し、性能と安全性を向上
- RTTが大きな環境で通信時に起きる回線切断を自動通知し、代替・予備セッションによってデータ伝送路を確保することで、性能低下を防止(特に中国、タイ、ベトナム、インドなど、日本に比べて通信インフラの整備が遅れている地域で効果を発揮)
- ギガ単位の大容量データ通信に対応
2.既存のインターネット回線を利用可能
- 新たな通信コストを発生させずにデータの受け渡しが可能
- データの送信者はユーザーIDとパスワードでウェブ画面にログイン後、対象ファイルをサーバーにアップすることで、自動的に受信者にメールが送信される
- データ受信者は、送られてきたメールのURLにアクセスし、ユーザーIDとパスワードでログイン後、対象ファイルをダウンロード
3.安全かつ高速なデータ受け渡しの環境を提供
- HTTPSで通信の内容を保護
- CD・DVD等の媒体、FTP(ファイル転送プロトコル)に代わる経路として切り替え
同サービスの価格は、オープン価格。なお、日立ソフトは、2010年10月1日より日立システムアンドサービスと合併して、「株式会社日立ソリューションズ」となる。 「活文 デジ活ワイド」は、2010年10月1日より日立ソリューションズより提供開始される。
デジ活ワイドホームページ
http://hitachisoft.jp/products/katsubun/digi-katsu/w/