SOAやクラウドなど、情報システムを取り巻く環境は急速に変化している。経済状況や競争環境の変化もめまぐるしく、ユーザー企業のIT部門にとってスキルセットの変革は急務だ。そこで重要性が高まるのが、業務とITの全体像を把握し、ビジネス要求を確実にシステムに落とし込む「アーキテクト」の育成である。
システム構築の現場では一般的に、開発者とビジネスプロセス設計者(ビジネス・アナリスト)が別個に作業を進めている。この両者の間には、技術/業務スキルの面で大きなギャップがあり、プロジェクトがうまくいかない大きな原因の1つとなっている。
一方でITの進展に目を向けると、サービス指向アーキテクチャ(SOA)を中心とした分散環境での柔軟なシステム連携技術に注目が集まっている。事業環境が急激に変化するなか、システムに求められる要件も日々刻々と変化する。頻繁な仕様変更を前提としていない従来のシステムでは、環境の変化への追従は難しい。複数のプロセスを実現する機能部品を組み合わせてシステムを構築するSOAのアプローチは、そうした課題解決の有効な手段として普及が進む。こうした環境下で、プロセス中心のスキルがますます重要性を増している(図1)。
SaaSやクラウドコンピューティングにおいても分散環境は増大しており、社内/社外システムの連携や、異種混在のシステム間連携が肝になる。こうした時代において必要となるのが、システムの適切な全体構造を策定し、必要に応じて要素部品を組み立ててシステムを設計する能力を持つ「アーキテクト」だ。
アーキテクトに必要なスキルセットと基本手法
どうやってアーキテクトを育成すればよいのだろうか。ガートナーはさまざまな企業への独自のインタビューを実施。さらに2009年11月11〜13日に開催した「Gartner Symposium 2009」で、製造業や金融業、運輸業、商社、公共など約20社の国内企業のIT部門担当者とディスカッションし、アーキテクト育成に必要なスキルセットや、その獲得のためのアプローチをまとめた。
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