米Nimbulaは2010年12月6日(米国時間)、仮想サーバー運用基盤(クラウド基盤)ソフト「Nimbula Director」の公開ベータ版の配布を開始した。同社サイトからダウンロードできる。2011年前半の製品提供を予定する。購読ライセンスの形態をとり、CPUコア使用量に応じて課金する。国内ではネットワールドが販売を検討している。
Nimbula Directorは、仮想サーバーのデプロイ(配備)を自動化する、クラウド基盤ソフト。同社が挙げる特徴は、クラウド運用の自動化に注力し、手動での設定作業を可能な限り廃している点。デプロイ操作は、リソースの存在を意識せずにできる。また、コントローラのクラスタ化によってクラウド環境の可用性を確保し、障害サーバーは自動復旧させる。
DBサーバーなど個々の用途ごとに必要なリソースなどを定義しておけば、デプロイを指示するだけで、空いているサーバー・リソースを活用して、仮想サーバーを自動的に配備する。負荷などに応じて、仮想サーバーを物理サーバー間やクラウド間で動的に移動する運用も可能。プライベート・クラウドとパブリック・クラウド(Amazon EC2など)の混在環境で、相互に仮想サーバーを移動させられる。
デプロイの運用管理ソフトに加え、操作対象となるOSとハイパーバイザ(DebianとKVM、製品出荷時にはCentOSとXenも追加予定)もパッケージ化して、“クラウドOS”として提供する。物理サーバー機のNICが備えるPXEブート機能(ネットワーク起動機能)などをデプロイの運用自動化に利用する。操作・管理インタフェースは、コマンド・ラインとRESTを使ったWebサービスを用意。APIライブラリを組み込んだカスタム・アプリケーションも開発できる。
なお、米Nimbulaの出資者でCEOのChris Pinkham氏は、2006年まで米Amazonに在籍し、Amazon EC2の開発を統括していた。2010年6月にNimbula Directorを発表し、クローズド・ベータ版を一部のユーザー企業に使わせてきた。公開した事例の1つは金融機関。夜間の金融シミュレーションに使っているリソースを昼間の間は他の業務に割り当てる。もう1つの事例は、SaaSベンダー。ユーザーごとにアクセス制御や課金のポリシーを使い分けている。