オフショア、2度目の正直。現地視察で不安を解消
2011年1月17日(月)IT Leaders編集部
2010年10月、G10プロジェクトは開発フェーズに入った。8月に完成させた基本設計をもとに、販売・在庫管理、会計・予算管理、EC、ワークフロー、会員管理、顧客管理、コールセンター、BIの各システムを詳細設計し、開発、システム内結合テストを実施する。
このうち、SAP ERPを利用する販売・在庫管理、会計システムのアドオン(追加開発)部分は、中国でのオフショア開発を実施した。
実は、GDOはオフショア開発に失敗した過去を持つ。2006年、業務システム刷新に挑んだときのことだ。このプロジェクトでは、オフショア開発業者と直接契約。要件定義までを日本国内(オンサイト)で済ませ、詳細設計と開発をその業者の海外拠点で実施する計画だった。ところが、オフショア先から上がってきた詳細設計を見て、メンバーは青ざめた。一見すると要件を満たしているようでいて、細かいレベルでは実際の業務と大きく乖離していた。結局、プロジェクトは頓挫した。
最大の原因は「日本語の要件を英語に翻訳して、オフショア先に詳細設計を任せたこと」(リテールビジネスユニット事業戦略部の木村暁部長)だった。要件に従ってプログラムの動作やデータフローを決める詳細設計フェーズでは、様々な前後関係を考慮した判断が発生するが、こうした判断には誤解や余計な推測を生まない要件定義書と、要件を定めた背景となる文化や商習慣を理解が必要だ。「日本で生まれ育った人なら10人中10人が“右”を選ぶ分岐を、海外エンジニアは“左”に進んでもおかしくない」(木村部長)。そうしたズレが集積して、全体が全く見当違いの方向に進んでしまったわけだ。
そんな“トラウマ”があるオフショア開発に再び踏み切ったのは、G10プロジェクト全体を支援するアビームから「開発リスクをきっちりコントロールするので、ぜひやりたい」という要望を受けたからだ。もちろん、同じ失敗は繰り返せない。前回の教訓を生かし、詳細設計までを国内で実施。設計のレベルにも徹底してこだわった。オフショア先には、設計内容を忠実にコーディングするよう要請した。
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