「クラウド時代になり、ベンダーによる顧客の囲い込みが再び始まった。この動きから開発者を守るために、各種のインフラやミドルウエアを自由に組み合わせられる環境を整備し、クラウド間で容易にアプリを移植できるようにする」---。レッドハットは2011年2月17日、今後同社が提供を予定するPaaSについて説明した。
米Red HatのAshesh Badani氏は、クラウド時代に再燃したベンダーによる顧客の囲い込みを「ロックイン2.0」と呼び、これを批判する。サーバー仮想化基盤や各種ミドルウエアなどクラウドを構成する各種のスタック同士が密接に絡んだ垂直統合型のシステムになっており、一度利用するとほかのシステムに乗り換えにくくなるとする。
写真1:米Red Hatでミドルウエア事業部製品担当シニア・ディレクタを務めるAshesh Badani氏
クラウド、特にミドルウエア群を提供するPaaSに求められる要素としてAshesh氏が挙げるポイントが、スタックを自由に組み合わせられる点である。システムの初期構築時にサーバー仮想化基盤やミドルウエアを複数ある選択肢から選べるようにするほか、後からスタックの一部を別のものに入れ替えられるようにする。
米Red Hatは以前から、自由度の高さをうたうPaaSとして、JBossミドルウエアや各種のクラウド基盤運用ソフトを利用した「Red Hat PaaS」をアナウンスしてきた。2010年12月には、クラウド資源に対してアプリケーションをプロビジョニング(配備)するソフトを持つ米Makaraを買収し、PaaS基盤の整備を進めている。
Makaraのソフトを使うと、Java(JBossやTomcat)ベースのシステムやPHPベースのシステムを、自由なWebサーバーやDBサーバー、IaaS基盤(Amazon EC2やRackspace Cloud)などを組み合わせて構築できる。特徴は、サーバー性能のスケール管理を自動化できる点。最小ノード数や最大ノード数を設定することで、負荷に応じて自動的に割り当てノード数を増減できる。