近い将来、さまざまなデバイスにタッチインタフェースが搭載される──。この動きがいっそう加速しているようです。アップルやマイクロソフトの話題を中心に、最近のアプローチを追ってみましょう。
iPhoneが切り開いたスマートフォンのブームに乗って世に広まっていったタッチインタフェース。このモダンなUIが近い将来、スマートフォンやタブレットのみならず、PCを含むあらゆるデバイスで標準的に用いられるようになる――以前より語られてきたタッチコンピューティング時代到来の予測が、今のさまざまな動きを見るに、いっそう現実味を帯びてきたように感じます。
これは、すでに起きている「従来のPCがタブレットやスマートフォンなどのスマートデバイスに置き換わっていく」という事象だけを指しているのではありません。iPad、Windowsスレート、それにAndroidも加わってタブレット市場が本格的に立ち上がったことで、今後、PCというフォームファクタに対するニーズが縮小に向かうことはほぼ確定的と思われますが、すべてがスマートデバイスに置き換わることにはならないでしょう。特にビジネス用途では、大画面のモニタとハードウェアキーボードが不可欠な業務が存在し続けるからです。それよりも興味深いのは、スマートデバイスの普及で大多数のユーザーが馴染んだタッチインタフェースが、PCのUIの方向性をも変えつつある、という動きです。
この動きの先導役はやはりアップルです。7月20日に全世界で販売開始されたMac OS Xの新バージョン、Mac OS X Lionでは、前バージョンのSnow Leopardから備わるマルチタッチインタフェース(複数の指での同時タッチを認識可能)がさらに進化しています(Mac OS X Lionの紹介ムービー)。
アップルの基本方針は、iPhone/iPad用OSのiOSで磨き上げたマルチタッチをはじめとするUI/UX(ユーザーエクスペリエンス)をMac OS Xにフィードバックしていくというものです。ユニークなのは、ノート/デスクトップMacのモニタにタッチパネルを採用して、ユーザーに直接画面に触れさせるのではなく、大きめのトラックパッドの上でのマルチタッチ/ジェスチャーで多様な操作を可能にしている点です。これは一見、直感的でないようにも思えますが、指で直接画面に触れるタッチインタフェースの場合、大画面のデスクトップMacを操作するときにドラッグ操作などの移動距離が長くて大変になることを想像すれば、理にかなったアプローチだと言えるでしょう。
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