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2011年12月1日(木)田口 潤（IT Leaders編集部）

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米IBMのVirginia M. Rometty次期CEO

想起されるのが、いわゆるダイバーシティ（多様性）問題だ。周知のように、この話は単に「性別や年齢、国籍で差をつけずに多様な人を雇用する」という話ではない。個々の人材が持つ能力やスキル、経験を把握し、採用や昇進に関わる人事制度や評価制度を透明にし、そして運用することが前提条件。当然、IBMもHPも実態はそんなきれい事だけではないにしても、ダイバーシティを促す制度が進んでいるのは間違いない。

翻って日本はどうか? 大手IT企業に女性社長は皆無だし、役員を見渡しても1人いるかどうかがといった程度だ。米国とは社会風土も企業風土も、あるいは雇用慣習も異なるので、仕方ない面はある。しかし事業のグローバル化とそのスピードアップが急務であり、国を超えた優秀な人材獲得競争が本格化する中で、人に関わる習慣や制度が旧来の延長線上のままでいいのだろうか?

しかもダイバーシティは人事だけの話ではない。複雑・多様化し、変化の早い今日のビジネス環境への適応力の問題でもある。当然、ITの利活用や企業における情報システム部門の役割や地位にも関係する。何かを適正に評価し、それが持つポテンシャルを最大限に引き出すために、評価する側の価値観を転換する必要があると思う。

猛暑が続いていた7月28日、IT Leaders Live! の第1回めを放送した。以来、主に筆者の都合で録画もあったが、毎週木曜日の夕方6時から30分間、生放送している。おかげさまで視聴者数も順調に増え続けている。

放送内容は、本誌のアドバイザーでもある札幌スパークルの桑原里恵氏に、その週のITに関わる出来事や本質的なテーマを筆者が聞くというものだ。クラウド2.0やロボット技術、スマートデバイス、ユーザーインタフェース、ITコストなど、桑原氏が提示するテーマは幅広く、かつ本質的である。

例えば11月10日放送分の第16回は、ITの「基盤（プラットフォーム）」がテーマ。放送直前、ある大手企業のシステム全面刷新の話を聞いていた筆者には刺激的であり、「基盤とは何か」を考えることの重要性を、再認識する機会になった。当事者が言うのもあまり説得力がないかも知れないが、見て損しないことは請け合いだ。ぜひ番組の過去分を見ていただきたい。

一方、IT Leaders Live!にはゲストコーナーを設けている。ユニークな製品やサービスを提供するIT企業の方を招いて技術の見所を聞いたり、コンソーシアムや研究会の主宰者に主旨を聞いたり、特定分野の専門家に話を聞いたりしている。売り込み歓迎なので、ご連絡いただきたい。

本号の特集は、ネットワーク技術に焦点を当てた。多くのITリーダーにとってサーバーやストレージはまだしも、ネットワークは存在自体が見えにくく、技術動向も専門家以外には知られていない。一方でクラウドや“D2D”（デバイス同士の連携）に象徴されるように、企業ITにおけるネットワークの役割は増大中だ。ぜひご一読いただきたい。

解説コラム「最前線」では、ユーザー企業である東京カンテイに「ダウンタイムゼロへの挑戦」を寄稿してもらった。同社の取り組み自体は、あらゆる企業に適用できるわけではないが、取り組みの姿勢や背景にある考え方は必ず参考になるはずだ。連載企画「21世紀情報システム像を探る」においては、LPI-Japanの成井氏が“ソフトパワー”を解説した。「ハードパワーからソフトパワーへ」という流れは、多極化（無極化）の中で必然かも知れない。

新製品関連の記事で注目したのがサイボウズのPaaS「キントーン」である。ハードウェア基盤を含め、同社はすべてを自前で作り上げたという。孫悟空の乗り物から名前を借りた点も含め、意欲的な国産のクラウドサービスとして、飛躍を期待したい。