[加藤恭子のマーケティング志向で行こう!]

お仕事でも周りの状況を“感じ”てますか?

2012年2月16日(木)加藤 恭子(ビーコミ 代表取締役)

最近、ほわっとして暖かそうなムートンブーツを履いている女性を見かけませんか。かわいいブーツだなと思い、それとなく観察していると、特定のブランド品が多くの女性の支持を集めていることが、はっきりと分かります。

 このように私たちは普段から周囲の状況を感じ、周りの人が何を選んでいるか気にしていることがよくあります。ムートンブーツなら違った形や色を選んでいくらか個性を出したいところですが、「流行の商品がいい」という思いが働き、“浮いている”商品を避ける傾向もあります。

 周りの人が何を選んでいるのかを知る方法は色々とあります。実際に友人に聞いてみるのは1つですね。ただ、この方法は異なるカテゴリの人の好みを推測するのには使えません。例えば、女性の友人同士の会話から男性エグゼクティブの食の好みを知ることは難しい。逆に男性エグゼクティブ同士で、新入社員の女性に人気の化粧品を知るのも容易ではありません。

 今は、実際に人に聞くより効率的な方法もあります。例えば、「@cosme(アットコスメ)」というサイトを見れば、多くの人が高く評価している化粧品が一目瞭然です。しかも、年齢別や肌別に分かります。「世代×性別×ブランドで切る!第3版」(日経BP社)のように、年齢や性別で人気があるブランドをランキングした書籍を参考にする手もあります。異性や異なる年齢層など異なるカテゴリの人の好みをつかむのに役立ちそうです。

仕事にも消費者的バランス感覚を

 皆さんが携わるITのお仕事の現場ではいかがでしょう。エンドユーザーの好みやスキルは考えられているでしょうか? 同業他社がどのようなシステムを利用しているかチェックしていますか? 逆にチェックし過ぎて横並びのシステムになっていませんか?

 以前ある企業のIT担当のエグゼクティブと話すことがありました。何でも、競合企業の利用システムの傾向は、ネットの検索や有料の記事検索サービス、定期購読の雑誌などで調べているとのことでした。このような調査に加えて大事なのは、業種・業態が似通っているかだけでなく、企業規模や社員のスキルをチェックしておくことです。

 例えば、ある外資系企業の日本法人の社内システムには英語が使われています。皆が英語の読み書きに不自由がないからです。そうした状況をじっくり考えずに、コテコテの日本企業が同じ海外製のシステムを導入したらどうでしょう。英語に不慣れな社員が簡単に使いこなせるとは思えません。「商品の分野が同じ」「製品の知名度の高い」といっただけの理由で競合と同じシステムを採用した結果、操作が複雑すぎて入力専任の社員を増やすことになったら元も子もありませんよね。

 システムには既製服を選び、自分の体(=仕事のやり方)を合わせよう。そうした言葉も聞かれますが、最初の選定を間違えると「20歳代が着るようなブランド服を40歳代が着る」「ラグジュアリーなブランド品を奮発して購入して20代が身に着けている」というのに似た違和感が出てくるでしょう。

 消費者と同じように、社内のシステム利用者も新サービスや新機能に求めるものがあると思います。皆さんが消費者の立場にいるときは、世の中の流れを調べながら「自分はこうありたい」という理想を描いて商品を選んでいるのに、仕事では思いつきや直感に頼って周囲の状況に気づいていない、なんてことはありませんか。

 企業システムのユーザーはITを取り扱う皆さんとは異なる人物像なので、思考も嗜好も違います。競合他社も自社とは違ってフットワークが軽かったり、たくさんの予算を持っていたりします。何もしないで直感で決めるのでなく、最低限わかる範囲で調べたいところですね。ユーザー像の調査に関しては「社内でヒアリングをする」「利用を観察する」「過去の問い合わせ履歴を調べて分析する」など、できることはいくらでもあります。

 ただ、調査するといってネットにどっぷり浸かったり、調査票を延々と分析し続けることになれば本末転倒です。調べ過ぎるあまり、かえって怖くなって行動に移せなくなるのも困りもの。消費者の立場にあるときと似た調査のバランス感覚をお仕事に生かしたいですね。

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