今日の企業ITにおいて、IT人材の重要性は言うまでもない。だから高度な人材を育成する環境や枠組みが必須である。人事や評価、教育などの制度を見直すと同時に、求められるIT人材像を可視化/定義するといったことだ。
後者に関して、日本にはベンダーのIT技術者向けの「ITスキル標準(ITSS)」、ユーザー企業のシステム担当者向けの「ユーザースキル標準(UISS)」が存在する。だがこれらは委託開発を前提に2000年代前半に策定された人材モデル。必ずしも、その後の変化に追従できているわけではない。例えば情報セキュリティエキスパートや、データアーキテクトといった人材/役割モデルは、定義されていない。
そこでスキル標準を所管する経済産業省は2012年3月、産業構造審議会・情報経済分科会・人材育成ワーキングループ(WG)を設置。高度IT人材に関わる議論を開始した(第1回の議論はこちらを参照)。
同時期に、ある会合で外資系製薬会社における情報システム担当者の人材(ロール)モデルを聞く機会もあった。この会社では、情シス担当者のためだけに20の職務を用意し、それぞれに詳細な定義と3段階のレベルを規定。育成やアサイン、評価に活用しているという。
そうした見聞から感じるのは、まずは具体案を作成し、それを改善、チューニングしていく方が実用的であること。経産省WGの議論との関係で言えば、有識者や専門家が意見を出し合って理想的な人材モデルを追求するだけではなく、現場の知見を取り込むアプローチが必要では、ということだ。いずれにせよITSS、UISSの改訂は重要なだけに、今後もウォッチし、本誌でも取り上げていく方針である。
3月から4月初旬にかけて、ハードウェア分野で様々な動きがあった。クラウドと連携させ運用管理性を高めたIAサーバー(日本HP)、企業向けの超小型PC(レノボ)、大手メーカーの6分の1の価格がウリでOpenFlow対応のL3スイッチ(NCLコミュニケーション)、専門家や実務のノウハウで選択・設置作業を大幅に効率化する“新世代の”サーバー(日本IBM)などである。ソフトやサービスに関心が集中する中で、どっこいハードも工夫の余地が多々あることを示している。
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