日頃、IT戦略を描くときに「先入観にとらわれたくない」という強い思いがあります。名が通っていないベンダーの製品や、導入実績に乏しい製品であっても、機能が優れていれば是非使いたい。もちろんリスクは伴うけれど、他社の真似なんかしていたら、競争優位に立てるシステムなんて実現しませんからね。目的に合致する合理的な方法は何かを見極める、ピュアな目を持つことが大切なんじゃないでしょうか。
そんな思いもあってか、書店に足を運んでも「平積みになって人気がありそうだから」という理由で本を買うことはありません。本の並べ方って、版元や取次がどの程度プロモーションに力を入れているかによっても随分と変わりますから。自分の感覚を信じて、これは読みたいという本を吟味するようにしています。
「資本主義はなぜ自壊したのか」は、参加を予定していたあるイベントで中谷巌さんが講演することを知り、予習を兼ねて読みました。所得格差の拡大や絆の崩壊など、米国型のグローバル資本主義の弊害を指摘する一方で、何が人々の幸せにつながるかといった視点が盛り込まれています。かつて市場原理主義の急先鋒だったはずの氏が書いているだけに重みもあります。
証券会社の生業は、金融商品を売買する場を運営すること。最近では、膨大な情報の提供やマイクロ秒単位の取り引きなんかが求められていて、ともすると“煽る”ビジネスにも映ってしまいます。自分の仕事の付加価値って何なんだろうという思いが常に頭のどこかに引っかかっていただけに、この本には引き込まれました。社会にどう貢献していくべきかを改めて考えるよいきっかけになった一冊です。
「こんな人と組織が生き残る」も、大久保寛司さんの講演を拝聴したのを機に手にとりました。組織を活性化する心構えと手段が書かれているのですが、基本は仕事を楽しくすることの重要性を説いています。
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