バックエンドからフロントエンドへ。企業ITにとって重要となる領域が変化するのを受け、戦略を統括するCIOのミッションもまた、大きく変わろうとしている。求められる全体感やバランス感覚などを考える。
経営とITの関わりは生き物だ。常に同じ状態には留まらない。社内外の制度変更への対応など、毎年のように発生する些細なことを言っているのではない。もっと大きなうねりのように動く変化のことだ。
企業におけるコンピュータ黎明期には、ITの役割は事務管理や技術計算業務の高速処理だった。これによって人間が計算していた業務を大幅に削減し、計算精度が格段に向上した。コンピュータを扱う専門部署が組織化されたが、CIOなどという役割はなかった。
その後コンピュータは汎用化が進み、部門単位の個別業務の効率化にも利用されるようになった。大きなうねりのような変化があったのは、インターネットの普及が始まった1990年代の半ばである。廉価になったパソコンが社員全員に配布され、ネットワークで繋がることが常態化した。これに伴いITはコモディティ化し、経営の基盤として必須の環境になっていく。この頃からITをより経営戦略に位置づけて投資する必要性が生じ、日本でもCIOという経営者の役割が求められるようになった。
このような大きなうねりは15年~20年くらいで起こっている。しかしその間隔は段々短縮されているようだ。ITの進化がそれを速めている。そして今、コンピュータはモバイルとなって移動を始め、IoT(Internet of Things)という概念で様々なものがインターネットに繋がって利活用される姿が現実になりつつある。経営とITは次のステージに入ってきた。
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