日本データマネジメント・コンソーシアムは2014年3月13日、年次イベント「データマネジメント2014」を開催した。3回めを迎える今回は、昨年より多い約1000人が参加。来場者は、データ活用に向けた企業の実践例や取り組み方法などに熱心に耳を傾けていた。ここでは当日の基調講演の内容を紹介する。
【基調講演1】
オープンデータと伝統産業の融合に挑む鯖江市の取り組み
最初の基調講演には、福井県鯖江市長の牧野百男氏と、jig.jpの代表取締役社長 福野泰介氏が登壇。「オープンデータと伝統産業の融合が未来を拓く“日本最先端のデータシティ”、福井・鯖江の取り組み」と題して、両者によるフリートークが展開された。
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鯖江市は福井県の北部に位置する人口6万9000人の都市。メガネのフレームや漆器、繊維の生産で有名だが、新たな産業の1つとして「IT」に着目する。中でも注力しているのが「オープンデータ」だ。鯖江市が保有する情報を、企業や市民が再利用しやすい形式で公開。同市は2010年から保有情報のオープンデータ化に乗り出しているが、このプロジェクトを牽引してきた中心人物が牧野市長と福野氏である。
牧野市長はオープンデータに着眼した理由について、「既存の地場産業だけでは鯖江市のさらなる活性化は難しかった。そこでITに目を向けた。鯖江市を支える新たな屋台骨としてITに取り組むべきと考えた」と話す。
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その一環で積極的に手を打ち始めたのがオープンデータである。鯖江市の取り組みを支援するjig.jpの福野氏は、「情報のオープンデータ化が進めば、新たなビジネス創出を期待できる。ただし、情報を利活用しやすいようにXMLやRDFなどの形式に揃えるのはもちろんだが、ライセンスを気にせず自由に使えるようにすることが大事である」と、二次利用や著作権の問題まで踏み込んで着手すべきと訴えた。
鯖江市では現在、約40種のXML/RDF形式のデータを公開。消火栓や避難所、AEDの位置情報や観光、議会、地図などの市民生活に役立つ情報を中心に公開している。これらを活用するアプリケーションも80近く公開する。
福野氏はオープンデータに取り組むなら、並行してアプリケーション開発に注力すべきと考える。「各国のオープンデータ戦略は、英国や米国などの一部で先行するものの、まだ始まったばかり。日本の状況は必ずしも遅れをとっているわけではない。もし今後、日本の戦略が他国に乗り遅れるようなことになれば、他国で先行するアプリケーションやサービスが日本市場を席巻してしまうだろう。これではアプリケーションやサービス創出が難しくなる。オープンデータをビジネスに昇華させるまでには時間を要するが、世界市場を視野に入れ、今から取り組みを推進してほしい」と来場者に訴えた。
鯖江市では市民が役立つアプリを開発できるようにと、女子高生がアイデアを考える「JK(女子高生)課」と呼ぶプロジェクトを開始した。「単なる話題作り、という声を聞くが、大人の常識では考えつかない斬新なアイデアを発掘できると考えている」(牧野市長)。福野氏も「利用者の視点に立ち、便利で使い勝手のよいアプリを考えられるのが強み。アプリの利活用を浸透させる意味でも、JK課に期待している」とした。
今後は、データを検索できるポータルサイトの構築や、河川の水位データなどをオープンデータ化する予定だ。「メガネの町として、最近注目が集まる“ウェアラブルデバイス”の拠点としての地位も築きたい」(牧野市長)。
【基調講演2】
“個客”密着のマーケティングで改革急ぐPGMホールディングス
次の基調講演には、PGMホールディングスの代表取締役社長 神田有宏氏が登壇。「勝ち残りには、顧客データを活用したOne on Oneのエンゲージメントが必須」と題し、自社におけるデータ活用の取り組みを紹介した。
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北海道から沖縄まで全国に約130カ所のゴルフ場を保有/運営する同社。しかし、「経営という視点でゴルフを語ると、以前はITとは無縁の業界だった。ゴルフ場の予約も電話やメールが主流で、顧客をゴルフ場にいかに呼び込むかといったアイデアにも疎かった」(神田氏)という。
神田氏が社長に就任する前は、顧客データがゴルフ場ごとに散在し、「どの年代の人がいつゴルフ場を利用するのかといった傾向すら把握できずにいた。そのため、平日は働いていてゴルフ場に足を運べない人に、平日割引のキャンペーンを告知するなど、効率の悪いマーケティング施策を打っていた。データの品質もゴルフ場ごとに異なり、130拠点のデータを集約/分析するのが難しかった」(神田氏)。客単価も下がり続けており、単価を向上する施策も求められていた。
そこで神田氏は、顧客維持、新規顧客獲得、客単価向上など図るためデータ活用に乗り出した。ゴルフ場ごとに管理する各種データを本社で一元化し、顧客情報、コースの空き状況、ゴルフ場に併設するレストランのマスターなどを集約。電話やメール、自社/他社のWebサイトから集まる予約情報も一元化したほか、顧客情報の名寄せやクレンジングも実施した。「いかに効率よく収益を最大化するかがデータ活用の狙い。ゴルフ人口が減少する中、大幅な収益向上が見込めない状況下でも、業績を維持/向上できる安定した経営が可能となる」(神田氏)。
顧客を年代や年間の利用料などで分類し、マーケティング施策の効果向上も狙う。「セグメント化した顧客に合ったゴルフ場をメールで案内できるようにした。分析結果をもとに、顧客が利用したいであろうゴルフ場を自動的に選択してメールで配信する。広告のクリック率が上がったのはもちろん、クリックした人の22%以上が実際に予約している」(神田氏)。
予約数や天気、競合他社の価格などをもとに、オーバーブッキングできる割合も算出する。「ゴルフ場の利用料金は、直前になればなるほど安くなる。そのため、一度予約した人が直前になってキャンセルするケースは珍しくない。どのくらいのキャンセル率になるのかを高い精度で予測できるようにすることで、ゴルフコースの利用率を向上できる」(神田氏)。
注目集めた最新テクノロジーセッション
複雑な課題に対処するための処方箋を示す
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◆AvePoint Japan株式会社
業務から見極める情報アーキテクチャのあり方
データ活用に向け、考慮すべき項目と準備の勘どころ
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◆インフォマティカ・ジャパン株式会社
サイロ化したデータはこう解放する
データマネジメントのアプローチ
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◆SAPジャパン株式会社
ビッグデータを業務に活かす
先行事例から学ぶ3つのポイント
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◆Talend株式会社
ビッグデータ統合でビジネスが変わる
~データ活用のオープンソース戦略~
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◆トレジャーデータ株式会社
クラウドサービスをデータ活用に活かす
"早くて簡単"だけではない、その利点とは?
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◆日本オラクル株式会社
「どうすればウマくいく?」ビッグデータやクラウド、モバイルへの斬新な取り組み。
その前に確実にできること、すべきこと。
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◆日本テラデータ株式会社
ビッグデータで加速するデータの利活用
~新しい活用プラットフォームの必要性と実例~
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◆株式会社ノーチラス・テクノロジーズ
正確なデータをもとに明日を予測する
~ノーチラスが提案する新しい予測の形~
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◆インフォテリア株式会社
日本のデータ管理は世界一!
ここまで進んだデータ管理の実態
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◆ソフトウェア・エー・ジー株式会社
“貯めて分析”から“即座に捌く(さばく)”へ
レスポンシブ・ビッグデータ処理の仕組みと活用事例
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◆日本電気株式会社
ビッグデータ時代を生き抜く
「データマネジメント」への取り組みの必要性と先進事例紹介
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◆株式会社リアライズ
データマネジメントの原点を明らかにする
「データが導く本当の真実をビジネスに活かす」
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