「ものづくり先進国」を掲げる日本の製造業に、変革を求める風が吹いている。製品単体ではなく、その利用体験を顧客に提供する「サービスファースト」の考え方により、海外の製造業が市場を拡大しているからだ。本連載では、これまでの「ものづくり」中心から、利用体験価値を提供する「ことづくり」への変革に向けて、製造業がどんなサービス提供モデルを確立するべきかを考えていく。第1回は、先進企業がどのようにサービスを進化させてきたかを見るために、現状最も一般的なサービス形態である「Break/Fixモデル」を解説する。
「製造業は今後、アフターサービスで儲けることが重要だ」「製造業のサービス化(Servitization)こそが厳しい競争環境で生き抜くために必要だ」――。こうしたサービス強化の重要性が指摘されるようになって久しい。
しかし国内の製造業に目を向けてみると、まだまだ「ものづくり」中心の事業構造が主流である。サービスから得られる収益を最大化するための取り組みは実施されているものの、サービスのあり方そのものを変えて競争を優位に進めようとする企業は少ないようにみえる。
サービスを最優先する「サービスファースト」の考え方では、どのようなサービスを提供するかを最初に決め、そのサービス要件を満たすための機能を製品に盛り込んでいくことが求められる(図1)。

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利用者の選択基準が変わり始めている
確かに、日本の製造業の強さは圧倒的な製品の品質にある。世界中で消費者が「Made in Japan」を選ぶのは、なによりもその品質に対する絶大な信頼感からである。製品品質は、グローバルに競争するための必要条件の1つだ。
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