求められるIT断捨離、メタボITからの脱却
2014年10月9日(木)CIO賢人倶楽部
「CIO賢人倶楽部」は、企業における情報システムの取り込みの重要性に鑑みて、CIO(Chief Information Officer:最高情報責任者)同士の意見交換や知見を共有し相互に支援しているコミュニティです。IT Leadersは、その趣旨に賛同し、オブザーバとして参加しています。同倶楽部のメンバーによるリレーコラムの転載許可をいただきました。順次、ご紹介していきます。今回は、ノバルティス ファーマの岩本直樹 氏のオピニオンです。
私が企業ITの仕事に携わって、はや25年が過ぎようとしています。年々、忙しさに加速度がついているように思いますが、皆さんはいかがでしょう?
ITの進歩、その結果としてITが事業のあらゆるシーンで活用されるようになったことからすると、忙しくなるのは当然かも知れません。しかしだからと言って、このままでいいのでしょうか。
私が仕事を始めたころは、まさにメインフレーム全盛期。この時代は何らかの新規システムを構築するには、お金も時間もかかる。そのため、少数精鋭の、現在から見ればシンプルなシステム構成が主流でした。今日のように運用管理ツールは充実していませんでしたが、その分、特定のシステムをIT担当者が総がかりで運用するといった、IT運用から見ればもっとも効率的な形がそこにありました。
その後「ダウンサイジング」や「オープン化」という掛け声のもと訪れたクライアント・サーバの時代、システムの数は一気に増加しました。結果、IT人員を分散させ、複数のシステムを同時に運用する必要性が現れました。利用者端末も進化を続け、現在に至ってはWindows、Mac、シンクライアント、スマートフォンなど、さまざまな端末から複数のアプリケーションにアクセスする形ができあがり、IT担当者はこの運用にも迫られています。メインフレーム時代を1対1とすれば、n対nのシステム構成の誕生です。
仮に10個のビジネスアプリケーションを5種類のデバイスからアクセスする場合、10×5=50通りの組み合わせが発生し、IT担当者はそのすべての組み合わせが正しく稼働することを保証しなければなりません。さらにアプリケーションや端末の種類が増えれば組み合わせはさらに膨張し、運用の複雑化を助長させることは容易にご想像いただけると思います。
これに加えて、厳しさを増すセキュリティーやコンプライアンスへの対応、音声や画像データを含むさまざまなデータ様式への対応もIT担当者の負荷を上げる要因になっています。このような状況を放置すれば、やがて多くのIT担当者は疲弊し、最悪の場合、IT組織やサービスの継続が難しくなる事態に陥る可能性も危惧されます。
この解決には、大きく分けて2つの方策があると考えています。1つはアーキテクチャの刷新。構築年代も利用技術も異なるサイロ型のシステム群を、SOA(サービス指向アーキテクチャ)に基づいて改良し、技術進化への対応力を高めることです。
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