[木内里美の是正勧告]

節目には、心に豆を撒こう

2015年3月9日(月)木内 里美(オラン 代表取締役社長)

古来、日本には季節の節目に執り行う様々な行事がある。邪気が隙を突いて入り込むのを防ごうというものが多く、人々が暮らしの中で得た知恵が脈々と流れていることを感じさせる。節目に襟を正すのは、ビジネスにおいてもとてお大事なことだ。今回はこんなテーマで記事を書いてみる。

 今年の節分は2月3日、そして立春は翌日の2月4日だった。節分も季節の行事として何気なく生活に取り込まれているが、長い歴史の中で作られてきたものである。節分は字の如し、季節の分け目のことである。立春、立夏、立秋、立冬が季節の分け目であり、その前日を節分と言う。行事としては年に一度しかない。春夏秋冬の1年の始まりを春においているから、立春の前日を節分として行事を行うようになったようだ。

 ではなぜ豆を撒いたり、鰯と柊を戸口に飾ったりするのか? 地方によって行事のしきたりにも違いがあり、関西では福を巻き込むために恵方(広辞苑:古くは正月の神の来臨する方角。のちに暦術が入ってその年の歳徳神のいる方向。吉方とも書く)に向かって太巻寿司を食べる。今年の恵方は西南西だそうだ。鬼の出入りする鬼門のほぼ反対側に当たる。今日、その風習はコンビニアンスストアの商戦と相まって全国的に広まっている。

 節分の象徴は『鬼』だ。人々に悪さをする悪霊であり、物の怪である。その邪気を追い払うために追儺(ついな)という行事で豆を撒き、魔除けの鰯と柊を立てる。撒かれた豆を歳の数だけ食べて無病息災を願うのも、恵方巻きに込めた思いに通じるものであろう。

節目に起こる邪気とは

 邪気は目には見えない(よこしまな)気配のこと。東洋医学では病気を引き起こす実体のある存在として捉えているそうだが、生活環境の中にも邪気が現れることがあると言われている。

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