携帯電話ショップの店頭に、格安のSIMカードやSIMフリー端末が並ぶようになった。もちろん、ビジネス用途でも見逃せない動きであり、CIOはじめ情シス部門の方には敏感であってほしい。契約の内容や使い勝手とはどういうものなのか、筆者が実際に手にしてみた。
2015年は“スマートフォン鎖国”していた日本が開国した記念すべき年になった。きっかけは、総務省が携帯端末などのSIM(Subscriber Identity Module)ロック解除を2015年5月1日以降に発売される端末から義務化したことだ。携帯通信事業者(キャリア)側は、転売抑止や残債処理を理由に購入後6カ月が経過した後から無料で解除に応じるとした。
これには伏線がある。総務省はSIMロック解除に対する利用者要望が高いことから、5年前の2010年6月に「SIMロック解除に関するガイドライン」を発表し、事業者の自主対応を求めた。しかし期待は外れ、NTTドコモ以外のキャリアは自主対応を進めなかった。結局、2014年12月にガイドラインを改正し、今年5月から義務づけすることになったのだ。
ちなみに言うまでもないだろうが、SIMロックとは、通信キャリア3社が販売する端末では他社のSIMを使えないようにロックを掛けて囲い込みをする仕組みのことである。それによる不自由さは多い。同じ番号のまま通信キャリアを変えるナンバーポータビリティでは、今までの端末を活用できずに新たに端末を購入する契約を強いられ、契約には2年間の縛りがある。海外では現地で自由に使えるプリペイドの格安SIMが露店でも販売されているが、SIMロックされた端末では使えない、といったことだ。
通信キャリアはSIMロックの見返りに、数万円から10万円以上もする端末を「端末料金実質0円」など格安で提供し、利用者を獲得してきた。一見、メリットがあるように思えるが、世界的に見ても極めて異常な契約形態だし、複雑な料金体系の不健全な仕組みだった。端末とSIMが分離されることによって端末は本来の価格で売られるため、最新のスマートフォンはパソコン並みの価格になった。
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