大日本印刷(DNP)は2016年1月12日、自動車業界を対象に、車載機器に搭載されているアプリケーションの改ざんや秘密情報の不正な取得などを防止し、車載システムのセキュリティ性を高めるサービスの提供を開始すると発表した。車両の盗難や遠隔操作による乗っ取りにつながる秘密情報の漏えいを防止する。
第一弾として提供するのは、車載システムの秘密情報の不正な取得を防止するソフトウェア「CrackProof(クラックプルーフ)」と、車載通信機器に組み込んで通信データを暗号化し通信機器同士の認証と管理を専用サーバーで行う「DNP Multi-Peer VPN(Virtual Private Network)」を活用した自動車業界向けのセキュリティ対策サービスだ。
「CrackProof」は、アプリケーションの不正改ざんを防止するクラッキング対策ソフトウェア。DNPの子会社であるDNPハイパーテックが開発した。
電子制御化された自動車で、制御系のアプリケーションがクラッキングされると、自動車の制御データやECU(Engine Control Unit:車載コンピューター)の仕様などの機密情報が漏えいし、悪用されるリスクがある。また、自動車に対するリモートコントロール機能を持ったスマートフォンアプリがクラッキングされると、ドアの解錠などを不正に行われる危険性がある。クラックプルーフはこれらのアプリケーションを堅牢化し、被害を未然に防止する。
「DNP Multi-Peer VPN」は、通信データを暗号化するSDK(Software Development Kit:ソフトウェア開発キット)と、クラウド環境または自社環境内に設置するVPNマネジメントサーバーで構成されている。同サーバーは、複数の通信機器を自動で認証するほか、複数の機器間通信(Peer to Peer通信)を可能にするため、車載システムのリモートバージョンアップ機能の悪用を防止でき、車載システム同士の通信およびクラウドサービスで安全な通信環境を提供できるようになる。
同SDKを車載通信機器に組み込むことで、通信機能の安全性を高められ、自動車とサーバー間や、車車間の通信経路の傍受による車載システムのコマンド解析、秘密情報の漏えいなどを防げる。
DNPは、自動車業界に向けてセキュリティ対策製品、サービスを提供し、自動車メーカー各社の車載通信機器への組み込みを進め、2020年度までの5年間で50億円の売上を目標にする。